葉っぱ 11年目のお米つくり

2023年7月30日

 今年で十一年目を迎えるお米作りは、間もなく稲から穂が出る(出穂)大事な時期になりました。
早生で田植えから50日、晩生で80日と言われますが、6月4日が田植えだったので、今年もお盆の頃には、稲の花が見られそうです。早朝の短い時間にしか見ることができない稲の花は、花びらはなく、とても小さくて白い可憐な花です。花言葉が表す「神聖」の通りの美しさです。稲は風媒花で、虫を必要としません。花粉を飛散させて自分の雌しべに自家受粉します。神秘的です。ぜひ機会があれば、お近くにある田んぼを早朝ご覧になってください。
 今年は、今までにないくらい一番手を掛けた年となりました。というより今までが掛けなすぎたと言ったほうがいいかもしれません。昨年までは、一週間に一回、雑草取りや、草刈りなどに行く程度で、しっかり向き合っていなかった気がします。そんな中、今年はトラブル続きで、山からの水が、どこからか抜けて溜まらない。よくよく見まわっていると、大きな穴が田んぼの畔の脇にあいていて、そこからどこかに漏れていました。モグラの仕業でしょうが、今までこんなことは一度もありませんでした。しかも、それがあちらこちらで抜けていて、それをふさぐだけでも重労働でした。遡って田植えの時期は、今と真逆の雨続き。しかも台風並みの低気圧が直撃したため、田植えをしたばかりの仲間の田んぼは半分以上の苗が流されてしまいました。運よく一週間遅く田植えを予定していたため、難を逃れましたが、そんな私も、苗作りはというと、低温の日が多かったせいか、まったく育たず、今年も貴重なイセヒカリの苗を譲ってもらっての田植えでした。そんなこともあって、頭の中は常に、水は大丈夫かとか、水草が絡まってきてはいないかなど、気が急いてしまって朝から田んぼに直行という日が何日もありました。
 その甲斐もあって、田植え前にしっかりと代掻きまでして、水面を平衡に近い状態に持っていくことができたので、田植えもしやすく、そして何より今年参加してくださった方が上手に植えてくれたので、その後の雑草取りも、いつもと違って、楽をさせてもらっています。とはいえ雑草の勢いは凄ましいです。安易に農薬を使う気持ちもわからないでもないです。そして、今年になってもう一つ大きな変化がありました。米作りを始めた一年目に、田んぼ一面に浮草が大量発生しました。これはどうしたものかと思っていたら、除草剤を使っていない田んぼは、そんなものだと教えてられたので、調べてみると、ちょうど同じような田んぼがいくつもでできて、一切薬品を使わず自然な米作りをしているサイトでした。そこでは、浮草は水面に蓋をする格好になるので、日光が遮られて雑草の生育を妨げてくれる利点もあることも分かりました。そんなありがたい浮草が、米作りをして三年目以降から全く目にしなくなってしまったのでした。理由も全くわかりません。ところがその浮草が、なんと今年になってまた大量に発生しているのですが、不思議なことに私が管理している田んぼにほとんど集中しているんです。不思議ですね。毎年やっていても、毎年何かが違うんです。そして新しいことに気づくことばかりです。
 さて、出穂してから40~50日、積算温度で1000~1250℃あたりが稲刈りとなります。昨年は10月9日でした。ただ今の猛暑が続けば、ひょっとするとその時期も例年より早くなるかもしれません。どちらにせよ、なるべく天候が荒れることなく、収穫の日を迎えられることを願って、田んぼに通い続けようと思います。ご参加したい方は、お知らせください。今でもきれいなうぐいすの歌声が聞こえる大井の田んぼです。