葉っぱ 今年もお米作りの作業が始まりました。

2024年3月28日

 年ごとに季節問わずの長雨が続くようになりました。まとまった雨の影響で、昨年は畔が壊れてせっかく植えた苗が流されるなどの被害がでました。今年もしっくりしない天気が先月から続いています。そんなこともあって、今年は水路をしっかり整備することを心掛けています。とは言えこれが結構な土木工事で体力がいります。昔の人は、こんな事を苦もなくやっていたのですから、つくづく頭が下がります。この田んぼを管理されていた澤田さんも、亡くなる前の年まで80歳の年齢にもかかわらず、いろいろと作業を助けてくださいました。その手さばきが早いことといったら、こちらが情けなくなるくらいでした。今の田んぼは、ほとんどのところがコンバインが入るように整備されています。まだ農家さんがコンバインを使ってなかった1960年、稲刈りと脱穀にかかる時間は、10aあたり57.4時間だったそうです。それが1960年後半から、普及が進み、1970年には35.5時間とほぼ半減。1980年には14.7時間、そして2015年には、3時間と、19分の1まで短縮されたそうです。時間が短縮されると共に、米作りに対する取り組み方が変わりました。家族総出で作業しなければいけない収穫時期、近所の人たちも手伝いに駆り出されたりするなど、良い意味での小さな集い、コミュニティが数多く日本の至る所にあっただろうと思います。作業後のおにぎりは、また格別な味だったでしょうし、そんな名残が、今もおにぎりの人気を誇っている気がするのです。コンバインの導入で、作業は少数でできるようになり、集いは失われ、個々の自立とともに近所付き合いもなくなり、2世代、3世代が当たり前に暮らしていた大家族から、核家族へと個の暮らしに変貌し、平成を生き抜いて今に至っています。同時に、消費者のお米離れが顕著になり、成人病が蔓延し、世界でもっともガンが多い国になりました。日本人として今まで大切に受け継がれてきた主食であるお米の文化を、ないがしろにしてきたことが原因でなくて、何が理由でしょうか。もう一度、私たちは日本人として世界に類を見ない食文化と、主食の継承を見直すべきだと思います。
 平成から令和になり、少しづつですが変化がみられるようになってきました。全国各地で行われているマルシェなどは、もう一度、集いの大切さに気付きだしてきたからではないでしょうか。小さな集いからコミュニティが作られ、横のつながりがだんだん強くなることで、本来生き抜いてきた社会生活を取り戻すのではないでしょうか。1995年代、グロ-バルスタンダードという言葉とともにWindows95が発表され、それがあたかも世界基準のように扱われて以来、そんな言葉に浮かれながら、個を増長し、一人勝ちの風潮を生みだしました。それがリーマンショックで崩れて以来、低迷続ける日本の経済が復興する足掛かりになるのが、小さなコミュニティではないでしょうか。
 フェアトレードタウン認定の名古屋市には、「エシカル・ツキイチ・マルシェ」や「日曜アトリエなど、持続可能な社会を目指す仲間たちが繰り広げる集いが存在しています。多数のマルシェが集う納屋橋夜市も、手作りだからこそ、多くの人達がそこに目指してくるのでしょう。個の時代から、集いの時代へと確実に移り変わっています。きっといい世の中が来ると思います。

参考資料:そもそもコンバインって?独自の進化で、農業生産性を劇的に向上させた立役者
     https://www.kubota.co.jp/kubotapress/news/combine_50th.html