葉っぱ バブルの後に

2024年3月3日

 思い起こすと、昭和から平成に移り変わったころ、日本は好景気に沸いてました。読んではいませんが、アメリカ合衆国の社会学者であるエズラ・ヴォーゲルの著書で「ジャパン・アズ・ナンバーワン」は、多くのメディアで取り上げられていました。
 これは日本が世界で最も優れた国であるという意味を持つ表現で、日本の経済、科学技術、教育、社会制度など、あらゆる面での優位性を示すものでした。具体的には、日本の製造業の品質や効率性、教育制度の成果、社会の秩序と安定性などを指すものだそうです。三菱地所がアメリカ経済の魂とも言えるロックフェラーセンターを2200億円で買収したのも、その象徴だったのではないでしょうか。高額商品はどんどん売れるし、空いているテナントを探すのにも困難でしたし、下請け業者をしていた知人も、客先から現金ですぐ払ってもらえたと言って、札の束をズボンに入れて次の仕事に向かってるくらいでした。日本全国アワ踊り状態だったのです。
 ちょうどその頃、私もご縁があってニューヨークに行く機会がありました。その当時は、旅行会社の担当者から、夜の外出を控えるようにと言われたほど犯罪が横行していた時で、そんな中を、たまたま日本で知り合えたニューヨーク在住の方に、夜のニューヨークをすみずみまで案内していただいたのでした。その華やかなロックフェラーセンターにも連れて行っていただき、必死でそのビルの中に三菱地所の名前を探しましたがどこにも見当たらなかったのを覚えています。さらに、危険と言われているスラム街にも連れて行っていただきました。ここも日本人が土地を買いあさっているんですよ!と教えていただきました。普通の観光では行けないようなスポットの数々を夜通し案内していただいたので、今でも鮮明な記憶として残っています。
 ついちょっと前まで好景気に沸いた中国がそうだったように、円高ドル安で、世界のあらゆるところにジャパンマネーが通用した時代だったのです。
 さて、先月の末、株価が史上最高値更新しました。絶頂期の1989年12月29日以来ということです。この現象をどう思いますか?もはや株も金も為替も、誰かの思惑によって動かされているだけで、本当の実力で動いているわけではないことは、今の荒んだ日本を見ていて分かるのではないでしょうか。円安ドル高、海外からの観光客や公共事業でようやく成り立っているような状況です。そんな中でも、株や不動産バブルが続いていることに、やがてバブルが弾け飛んだあとの顛末を想像しようにも、想像をはるかに超えることが起きる気がしてなりません。
 インフラメンテナンスを取り巻く状況が厳しさを増していると、ついこの前、日経が取り上げていました、特に地方のインフラは、存亡の岐路にさしかかっているということです。土木技師は不足していることもあって、1/4の自治体に土木技師が一人もいない状況。そんな中でもどんどん道路が作られています。車の所有も減っている中で、いつまで公共事業を推し進めていくのでしょうか。橋やトンネル、河川などなど、メンテナンスにかかる事業こそが一番必要なのではないでしょうか。大きな災害が続く中、橋が一本落ちてからでは遅いのです。景気が良ければ、政治家も裏金作るのに必死になる必要はないはずです。いかにバブルが弾けた平成以降、与党である自民党と公明党が何の対策もしてこなかったということではないでしょうか。あらゆるツケの清算が、いよいよはじまる気がします。