葉っぱ 命はみなつながっている

2004年3月1日

最近「白い巨塔」を毎週見るのが日課となっている。というより一番はまっていると言ったほうがいいかもしれない。医療過誤をめぐる患者の遺族と医療ミスを犯した大学病院教授との熾烈な医療裁判を扱った内容が、とても三十年ほど前に作られた作品とは思えないほど新鮮な問題として見る側に迫ってくる。近年医療ミスが全国で多発している。その根底にある大きな問題は一体なんだろうか。
数年前、NHK製作「プロジェクトX」で心臓外科医須磨久善氏の「奇跡の心臓手術に挑む」を見たことがある。なんと動いている心臓をメスで切りとる「バチスタ手術」というもの。死を宣告された心臓病の患者に生の希望を与える高度な手術を手がけたことで広く知られているということだった。
ところが、その最初の手術が病気の進行が早く失敗に終わったことで、「手術は時期尚早」と当然のように医学界から批判の声がまき上がった。メスを持つのを絶つことを考えたほど本人も悩み、うちひしがれていたとき、「この手術を続けてほしい」と声を上げたのは、その最初の手術で亡くなった患者の奥さんだったそうだ。その後、二人目の手術希望者の手術が見事に成功し、ようやくこの新しい治療法は広く認められていく。
「医者というのは、患者のためにいるわけで医者としての地位や名誉などどうでもいいことです大切なのは医者が患者から見捨てられないようにすることです」と、熱く語る須磨氏の言葉が、今の医療にもっとも求められていることではないだろうか。
来月の10日に、須磨久善氏の講演会が催されます。熱い思いを聞きにいきませんか。