葉っぱ 中庸

2010年3月1日

各地で吹いた春一番が、厳しかった寒さの終わりをつげている。これから陽気は、三寒四温、温冷を繰り返しながら華やぐ春へと移り変わっていく。長いトンネルを抜けた先に広がる情景のように、今年の春の訪れは心を高揚させている。
実は、過去何度と挫折を繰り返している健康法がある。それは温冷浴である。今回は一年近く続いているが、毎回冬が試練の季節である。おまけに今年は寒 かった。何度冷水に負けそうになったかしれないが、何とか乗り切ることができたようである。その温冷浴とは、以前にもお伝えしたが、冷浴と温浴を1分おき に交互に4回繰り返すことで皮膚を鍛え、血液循環を促進し、新陳代謝を活発にする故西勝造氏の発案した西式健康法の一つ、冷浴で始まり冷浴で終わるいわば 温冷行である。はじめの冷浴は、何度やっても慣れることはない。冷たさが身に凍みるのだ。しかし、そのあと気持ちいい温浴が待っている。その気持ちいい時 間もたった1分、天国と地獄を繰り返し、冷浴も3回目となると、この冷たさがだんだん心地よくなってくる。そして最後の冷浴を終えたときには、もはやその 日の疲れがリセットされ、爽快な気分のまま一日を終えることが出来るのである。余談になるが、数年前の日経新聞にある記事がのったそうだ。清水エスパルス のクラブハウスには2つの浴槽があって、1つはお湯の入った普通のお風呂、もう1つは水風呂。練習やゲームを終えた選手は両方に交互に入って疲れをいやす とのこと。これはまさしく温冷浴である。ただし、我が家もそうだが、一般的に2つのお風呂はないので、冷浴はシャワーで行っている。2つもお風呂があって 実践できる環境があるとは羨ましい限りである。
難行である温冷浴。この効果には、①疲労回復。②血流がよくなり、冷え、浮腫み、肩こりがとれる。③アトピー性皮膚炎や他の皮膚炎が改善する。④糖尿 病、肥満、高血圧、喘息等の改善。⑤免疫力が高まり、風邪をひきにくくなる。⑥腸の調子がよくなり、快便になる。⑦頭がすっきりして熟睡できる。といった 実行すれば良いことずくめな結果が待ちうけている。事実、足の冷えは、これで改善されたし、風邪を引きかけて患うことがない。では、なぜこんなにすばらし い健康法が広まらないのだろうか。その理由は挫折を繰り返した自分がよく分かっている。だれでも、小春日和の日にはウォーキングに行きたくなっても、凍て つく寒い日には歩きたくないもので、面倒なことや、気が滅入るようなことは極力避けたいのである。今回、それを乗り越えた気分を味わえたのは、体が確実に 変化しているという実感からだ。毎日の少しづつの積み重ねが、いかに大切なことかを体が感じるようになると、一日たりとも、疎かにしたくない心境になって くることに気がついたのである。
西式健康法を広めた故甲田先生の書籍中(現代医学の盲点をつく)によると、このありがたい温冷浴の更なる効能に、血液の状態を中庸にすることをあげてい る。冷浴は血液を酸性にし、温浴がアルカリにするためだ。そして冷浴が交感神経を、温浴が迷走神経を刺激することを交互にくり返して行うことで、体液が 中性に寄ってきて、交感神経と副交感神経のバランスを保ち、これがしいては全身の健康を増進することになるというのだ。
これからのやわらかな陽気は、温冷浴を体験するのに絶好の機会である。一度トライしてみてはいかがだろうか。

※冷浴の適温・・・15~20℃ 温浴の適温・・・40~42℃