葉っぱ 笑う角には・・・

2008年6月1日

 『中高年、手鏡そーっと覗いてもブスはブス』『体重計、そーっとのってもデブはデブ』・・・中高年を対象とした辛らつな発言で、一時爆発的人気者となった綾小路きみまろのCDに、最近はまって車の中でよく聞いている。何度聞いても可笑しいから聞いているのだが、それにしても、あれだけはっきりひどいことを言われても、逆に笑い飛ばしている客席の声に圧倒され、それがまた可笑しくて何度も聞いてしまうのだ。その世代によって、笑いのツボでもあるのだろう。吉本のお笑いブームが依然続いているのも、ある世代の笑いのツボを確実におさえているからではないだろうか。そんなことはどうでもいいが、ふと聞きながら、以前ベストセラーになったがばいばあちゃんを読んだときの、時折腹からこみ上げてくる爽快な笑いと、どうも似ているような気がしてきたのだ。表現の仕方は違うが、身にまとうものや家の大きさ、収入で人生の評価が決められるものではない。しかし、それでもついつい他人様と比較して、時折右往左往している自分を滑稽さで表現したのが、あの爽快な笑いのような気がするのである。
 幸せの尺度でもあるとしてl自分でそれを示そうとするならば、評価するのは自分自身だから、他人と比較する必要がない。だれとも比較しなくなったら人間というのは、意外と強いものなのかもしれない。地球上でたった一人、オンリーワンだからだ。比較のないその爽快感は、笑いとなって、スーッと全身の力を緩めていくのではないだろうか。
 20年ほど前に、岡山県で、生きがい療法を提唱する柴田病院の伊丹先生が、笑う角には福来たるが実際にどう医学的作用するか実験したことは有名だ。大阪にある「難波グランド花月」というお笑い劇場で、二十余名の被験者に漫才などを見聞きして免疫成分がどう変化をするかを実験したのだ。その結果、免疫成分が増加するだけではなく、免疫療法剤よりも即効性があり免疫機能のコントロールも笑いの効果であがることが証明されたそうだ。
 毎日明るくユーモアと笑いの生活を送ることが、癌の予防と治癒に役立つとは、分かっていてもなかなかできることではない。しかし、高い健康食品を買うより何よりも、笑いが一番安上がりな健康法ならば、今までとちょっと世の中の見方(価値観)を変えてみても良いのではないだろうか。
 きみまろ風に最後を締めるなら、『かっこいいことを言おうが、どんなに大きな家に住もうが、あなたもわたしも「おしめ」で始まり「おしめ」で終わる。だから「おしめ~だ」』。