葉っぱ 食品のからくり

2008年12月1日

冷え込みが厳しくなった先月下旬、遠方からの久しぶりの客人と酒宴を催したのだが、陽気同様の景気に話題が移って酒量を増やした。深酒の翌日は気分が悪い。そんなときだけ自制がきかない自分に嫌悪感を感じ、反省しながら半日が過ぎるのだが、その日は講演を聞きに行く大切な日だったのでそうもいってられなかった。あえて大切な日としたのは、講師に特別な思いがあるからだ。思えばこうしてこの仕事に携わることになったのは、学生時代、郡司篤孝氏の著書“怖い食品1000種”という本を読んだことがきっかけである。読みながら震えるような感覚が襲ってきたのを覚えている。普段何気なく食べている食品に、あたかも安全であるかのように装いながら多くの食品添加物が使われている。それがたとえガンを発症する危険があると分かっていても利潤追求のために、大量の商品が生み出されていると知ったからだ。はるか20年以上経った現在、その状況はどうなっているのだろうか。昨年から続いている食品偽装の問題は未だ後を絶たない。そればかりか汚染米問題では、責任はとうとう監督官の農林水産省まで及んでしまった。そんな中で、「食品のからくり」という演題で語る講師が、偶然にも篤孝氏の次男にあたる和夫氏だったのだ。
 事実を整然と伝えていく話し方は、感情を表に出しながら話しをした篤孝氏とは対照的だった。「からくり」の手口が明かされるとともに、目の前が暗くなった。最近の不祥事があらわすように、昔も今も何も変わっていない。ただ、添加物の名前が変わっただけで、人体に与える毒性が多少なりとも変わっただけなのである。まるでこの構造は、不祥事続きの今の官僚社会と同じではないか。改めて気をつけていただくためにも、特に恐ろしいと感じたものを下記に書かせて頂くことにする。
●臭素酸カリウム・・かつてはパン生地、魚肉練り製品などの改良材として用いられたが、発癌性が指摘されパン以外の使用は禁止された。ソフトな仕上がり具合が好評だが粘着度が増すため、パンをのどに詰まらせて死亡するケースとの因果関係を指摘する声もある。小麦粉改良剤といわれるくらいだからパン好きな人はご用心。市販品に限らず、給食や外食のパンも内容の確認をするべき。
●BHAブチルヒドロキシアニソール・・主に洗剤、インスタントラーメンなどのパーム油などの酸化防止剤に多く使用される。ガン発生や他の危険性が高く、一部を除き使用禁止。業界の大きな圧力で使用禁止が延期されているという。インスタントやお菓子などは無添加のものじゃないと怖い。
●L-アスコルビン酸・・いわゆる合成のビタミンC。酸化防止剤の食品添加物。これらサプリなどの中国製添加物の輸入が急増しているそうだ。マルチビタミンなどサプリメントは要注意。DHCの清涼飲料水「アロエベラ」から、水道水の基準値の7倍を超すベンゼンが検出され自主回収した。原因は、安息香酸(保存料)とアスコルビン酸の生成で毒性の高いベンゼンが発生したらしい。
 まだ書ききれないが、今や体の血となり肉となる食べものの多くが、からくりで彩られているということに間違いはない。本来からくりとは、日本が世界に誇る伝統工芸の精巧な技術という意味なのだが、本物に勝るからくりは存在しないのだ。本物の味をしっかり舌に刻んでおくことが、一番確かなことだろう。