葉っぱ 炊煙

2009年1月1日

 北区から移転してこちらであわただしくオープンしたのが昨年の4月始め。干支(亥)のように猛進して、あっという間に新年を迎えましたが、無事に年越しができたのも、皆さまの日頃の温かいご支援のおかげです。深く御礼申し上げます。そして本年もよろしくお願い申し上げます。
 
 ある番組で、年金や薬害肝炎などの問題に触れ、竹村健一がこんなことを言っていた。今、内閣を襲っているのは国難である。昭和の初期の不況時、公務員の給料を1割のカットして乗り切ったことがある。又、古くは仁徳天皇の時代に、疲弊にあえぐ民に対して、宮中はぜいたくを抑えた。やがて民のかまどから炊煙が上がるようにようになった。政府にも、省庁にも理屈は色々あるだろうが、ごちゃごちゃ言わないで早急に救済すべきだ。といった内容だった。
 禅語に、似た風景を語ったものがある。肝心の言葉が思い出せないが、その言葉の意味は、朝もやの中を、かまどに火を入れ、やがて立ち昇る炊煙が一筋二筋と増えていく。毎日の平和な朝食の風景だ。それは次の日もまた次の日も繰り返される。平穏な静かな一日の始まりを顕し、その日その日の無事を感謝するということだと教えて頂いた。その炊煙が立ち昇っていないことに気づいて租税を免除し、その間は倹約のために宮殿の屋根の茅さえ葺き替えなかったという仁徳天皇の逸話は、時代と風景こそ異なっているが、味わい深い話しではないだろうか。きっと、美しい国というのは、本来そういうものを表すのだろう。
 肝心の禅語の言葉を思い出せずに焦りが出始めた。しかし、いろいろ調べていたら、新年にふさわしい言葉にたどり着いたので、代用して明記させて頂きたい。
 洗心・・心機一転する正月に、洗心し、記憶や思いを投げ捨てれば、心は自ずと新たになる。正月とは、もともと修正する月である。
 今年一年が、いつも平穏な風景でありますよう心からお祈り申し上げます。