
11年目の田植えを終えて
2026年7月1日
お米作りも11年目を迎えた今年は、苗も順調に育ち、田んぼの代掻きも余裕をもって行えたため、田植えを非常に順調に迎えることができました。田植え体験を希望された方も8名と過去最多になり、複数ある田んぼがみるみるうちに苗で埋まっていきました。はじめはぎこちなかった初体験の方も、植え終わるころにはとても上手になっていて、今年ほど田植え体験会が楽しかったことはありません。
栽培しているお米の品種はイセヒカリです。1989年の東海豪雨で倒れた伊勢神宮の神田のコシヒカリから奇跡的に発見された突然変異種で、病気に強く倒れにくい栽培のしやすさと、一粒一粒がしっかりとした硬質でさっぱりした食感が特徴の「奇跡のお米」です。この種籾を高齢で廃業された生産者の方から譲り受けたことをきっかけに、毎年種籾から育てるようになりました。
栽培では薬品を使わず、種子は60℃のお湯で消毒し、約一週間かけて発芽させます。それを育苗箱に移して苗に仕上げるのですが、これが難しい。「苗半作(なえはんさく)」という言葉があり、「米の出来は苗作りで8割決まる」という意味です。稲作における苗の大切さを物語る農業の格言です。 発芽後は鳥よけの網を張るのですが、鳩に苗を食べられたり、種もみをおろしてから低温が続いて育たなかったりと、毎年このころが一番緊張する時期です。今年は無事に成長し、3週間後には田んぼに着水させることができました。
植え方は、立派に育った苗を選別したうえで、苗を1本ずつ独立させて植える方法を採用。株間をこれまでより広い40cmにとることで、茎が横に枝分かれする「分げつ」が盛んになるよう工夫しました。昨年も同じ方法を試みましたが、代掻きが不十分で雑草を増やしてしまい、苗が雑草に負けて実りが悪くなった場所もありました。毎年あれこれ試行錯誤しながら、秋の収穫という「通知表」を受け取っては反省し、また翌年に挑む——その繰り返しです。
さて、田植えまでは非常に順調でしたが、その2日後、台風6号が襲いました。雨台風のため大量の水が山から田んぼへ注ぎ込み、翌日見に行くと、激しい水流で苗が今にも流されそうになびいていました。なすすべもない状態でした。落ち葉や枝、土砂が田んぼ内に流れ込み、水流によって底に凹凸ができ、水が流れる場所とそうでない場所が生まれてしまいました。
しかし、心配した苗はほとんどがしっかり根を張って立っていました。育ちのよい苗を選別して植えた判断は正解でした。
これからの作業は、田んぼの凹凸を平らにならして水が均一に行き渡るようにすることと、何といっても雑草取りです。秋の通知表が楽しみになるよう、丹精込めて向き合っていきたいと思います。


