葉っぱ 目に見えるものだけが真実?

2026年4月28日

 NHKのBSで偶然目にした「ショパンコンクール 天才たちの競演」という番組。若手ピアニストの登竜門として知られるこのコンクールは、課題曲がすべてショパンの作品で、出場資格は16歳以上30歳以下。5年に一度、ポーランドのワルシャワで開催される世界最高峰の舞台です。同じBSの「街角ピアノ」を朝6時から見る習慣があるせいか、ピアノの旋律が自然と耳に馴染んでいたこともあって、このコンクールもいつの間にか毎回見入っていました。なかでも印象的だったのが、日本人ピアニストの活躍です。反田恭平さんは第2位という日本人として数十年ぶりの快挙を成し遂げました。そして角野隼斗さん——「かてぃん」の名義で活動するYouTubeチャンネルの登録者数は120万人を超え、東大大学院から研究職を蹴ってピアニストの道を選んだ という異色の経歴を持つ方です。クラシック音楽をより多くの人に届けたいという思いからYouTubeでの発信を続け、画面越しに積み上げてきた信頼と実力を、世界最高峰の舞台でも存分に発揮しました。ふたりの演奏には、技術だけでは説明のつかない何かが確かにありました。
 演奏を聴いていると、正直なところ誰が弾いても甲乙つけ難い——そう感じてしまいます。それでも順位がつく。プロの耳には、音色や響き、演奏する姿から伝わってくるものが確かにあるということでしょう。「ただ弾く」と「心を込めて弾く」では、この空間に返ってくるものがまるで違う。それはピアノに限った話ではありません。仕事でも、勉強でも、料理でも——気持ちが入っているかどうかは、分かる人にはすぐに見透かされます。当たり前のことのようで、これが意外に難しい。気持ちの入った生き方を日々続けるということは、妥協を許さないということでもあるからです。
若い演奏家たちを見て感じたのは、「若いのにすごい」という単純な驚きではありませんでした。年齢に関係なく、どれだけ真剣に生きているかが、その人の「のびしろ」を決める——そんな当たり前で、でも忘れがちな真実を思い知らされた気がしています。
 「見たものしか信じない」という言葉をよく耳にします。でも、私たちが実際に見えている範囲は、思いのほか狭いのかもしれません。たとえば、自分の体のこと。少し不調を感じるとすぐに薬や医療に頼る方が増えていますが、人間にはもともと強力な自然治癒力が備わっています。発熱は体がウイルスと戦っているサインであり、だるさは「休め」という体からのメッセージです。それを薬で抑え込むことが、本当に体のためになっているのかどうか——立ち止まって考える機会が、現代人には少なすぎるように思います。食についても同じことが言えます。忙しさに負けて頼りがちな外食やコンビニ食には、食品添加物や質の悪い油が多く含まれているものも少なくありません。体調不良の原因が実は毎日の食事にあった、というケースは思っている以上に多いはずです。見た目においしそうでも、体の中で何が起きているかは見えません。
ショパンコンクールのピアニストたちが「見えない音楽の本質」を追い求めるように、私たちも自分の体や食に対して、表面だけでなくその奥を見ようとする目を持ちたいものです。そしてその視点こそが、日々の生き方の質を変えていくのではないでしょうか。


画像は延久さまhttps://note.com/enqueue/n/n1ae1cceb80c2
より拝借いたしました。