葉っぱ 身体能力を高める「和の所作」

2018年7月1日

 最近、気になって手に入れた本があります。能楽師である安田登氏の書かれた「身体能力を高める和の所作」
世襲制のような匂いのするお硬い世界と思いきや、能は他の伝統芸能に比べると意外におおらかなようです。ロック好きでバンドを組んでいた著者が、ある時、能楽堂でその後師となる鏑木師の声に、度肝を抜かれたことがきっかけでその世界に飛び込んだのは二十代後半だったそうです。そんな著者が、能の世界で昔から培われている所作に視点をおいて、身体の使い方に、気付きを与えてくれている貴重な一冊です。
 世間では六十代で定年を迎えるのが一般的ですが、能の世界では、六十歳でやっと中堅、なんとそれからが働き盛りだそうです!。七十~八十代の方々が、あたり前のように舞台を務めている。凄いことですよね。私達の周りはどうでしょう。なぜ、高齢でも現役でいられるのでしょうか。
それが、能の所作で当たり前に使われている筋肉の使い方だったのです。
 私達は毎日の生活の中で、何気なく身体を使っています。その筋肉は、主に表層筋と呼ばれるものだそうです。ジムなどのトレーニングで筋肉モリモリなども主に表層筋で、ライザップなどもそうでしょう。表面的に結果が早く現れる筋肉です。お腹が出てるより、スッキリしてる方が良いのはだれでもそうです。しかし問題は、健やかに生きる方法です。
 著者は、表層筋ではなく、深層筋を鍛えることが、能の所作であり、それが高齢でも現役でいられる大きな理由であると語っています。
また著者は、最近の子供達の様子がおかしいことに気付き、能の稽古を通したワークショップを行っているそうです。多くの子供達に触れる中で、身体の使い方を知らない子供が増えていること、キレる子供の多くが、彼らの筋肉がガチガチに固まっていて満足な呼吸ができていないなど、身体の使い方の誤りで、多くの原因が起きていることを感じ、それを能のエクササイズを取り入れることで
改善することを身をもって体験されています。
 まさに、現代の私達に欠けている、古きを温めて新しきを知る精神ではないでしょうか。
 さて、最後にご自宅でも簡単にできる深層筋のトレーニング方法である足振りのやり方を、本中から紹介させていただきます。かれこれ二週間ほど経ちますが、忙しい時などレジで、ずっと立っていても疲れなくなりました。大きな変化です。今後の変化が楽しみです。

足フリ4.jpg
①10cmくらいの高さの台の上に片方の足を乗せて立ち、
身体を真っ直ぐに安定させて、背中をスッと自然に伸ばす

足フリ2 のコピー.jpg

②台に乗っていない方の足を股関節からゆっくりと静かに
前後に振る。歩くときの一歩より小さい歩幅で、1分間に
30往復くらいのテンポでゆっくりと振る。