葉っぱ 原発のない夏に・・・

2012年8月1日

 ちょうど昨年の今ごろお便りで書いたことを思い起こしている。まさしくそれが意外な地球温暖化の原因の一つだと今さらながら確信している。知らないこととはいえ、なぜこのようなことがことが問題にされずに放置され続けられてきたか不思議でならなかった。いや今だに放置され続けているといったほうがいい。それは友人とのひょんな会話から知ったことだった。昨年の内容を一部ご紹介させていただく。……昨年の5月に運転を停止した浜岡原発に話しが飛んだときに、釣好きな彼ゆえ浜岡という言葉に敏感に反応した。そこは絶好の釣りスポットらしい。どうしてかと聞くと、原発から出る温排水で海一面が湯気で真っ白になるそうだ。その温かい海水のおかげで越冬できたメッキでGTクラスという大きさを釣り上げるのが醍醐味のためだという。聞き流すような話しの中で、気になったのが海に捨てている排水だった…………….。
 原子力発電所で生み出される熱はおよそ300万キロワット。そのわずか3分の1だけを電気に変えて残りの3分の2を捨てている。その捨てているところが海である。1秒間に70トンの海水を原子炉の熱を冷ますために発電所に引き込み、海水の温度を7℃も上げて海に捨てている。しかも配管に貝などが付着しないように使用する化学物質の塩素や過酸化水素も一緒に捨られているのだ。その流量が、なんと日本全国の原発54基で換算すると、年間1000億トンにもなるという。全国の河川の流量が4000億トンというからその膨大たる量や想像するに恐ろしい数字である。そんな状況が震災が起こる昨年まで当たりまえのように行われてきたのである。これを温暖化の原因と言わずに、何を原因といえるだろうか。そしてこの構図はわが国の生活スタイルと近似している。湯水のように電気や水を使い賞味期限が過ぎたものは何の心痛もなく廃棄する。食糧廃棄などは5800万トンの食糧を輸入しながらその3分の1を捨てているというのが現状だ。まるで世界最大の廃棄国である。貴重な資源を無駄に遣い、廃棄の代償が、温暖化や海の汚染にもつながっていたと見るのが普通ではないだろうか。
 震災以降、原発への不安から1基のみが現在稼動している状態である。あれだけあった原発が一度はすべて停止してしまったのだからそれがなくてもやっていけるということを証明したのである。それも急な災時を乗り越えて達成できたことだ。努力を惜しまない国民性を少しは誇っても良いと思う。ところがそんな美談には蓋をして、電力不足の不安を煽り立てるメディアと経済界、そしてそれに便乗する邪な政治家にはあきれて物が言えない。全国で行われているデモを見ても分かるように、反原発の波はうねりを上げて広がっている。どうみてもこれ以上の再稼動は不可能だろう。ましてやこの無尽蔵に海に捨てられている温排水について、何かもっともらしい答えがあるとでもいうだろうか。
 今年も容赦のない夏の暑さが襲ってきている。我々の性根を試されているようだ。クーラーを切るなども一つの方法だが、くだらないテレビを消したほうが遥かに省エネらしい。これはいろいろな意味で
一番効果がありそうだ。原発をなくすためにまずテレビを消そう!

参考資料:DAYSJAPAN2011年8月号「小出裕章の放射能の話」