葉っぱ ウサギ(△)とかめ(▽)

2009年4月1日

毎朝の日課となった約5kmのウォーキングも、早いもので2ヶ月が過ぎた。はじめた当初は体が温まるまでは凍えるような寒さの中だった。意外だったのは、歩くだけとはいえ、なかなか体が言うことを聞かなかったことだ。足の甲やら、股関節が痛くなったり、ふくらはぎが張るなど、長年の運動不足のツケが毎日のように襲ってきた。寒さとこのツケにしばらく苦しめられたが、そのうち少しずつ体調に変化が現れ始めた。歩くことで体は軽くなり、疲れにくくなったのだ。この間特に食事を気をつけていることも大きな要因と思うが、顕著にしたのは、これが原因だろう。
 時間にして約50分ほどのウォーキングの時間は、運動以外に、頭の整理に大いに役立っている。つい先日のこと、ふと頭をよぎったことがある。イソップ童話のウサギとかめの話しだ。この教訓は、ご存知の通り、自信過剰で思い上がり、油断をすると物事を逃してしまう。 また、能力が弱く歩みが遅くとも、脇道に反れず着実に真っ直ぐ進む事で、最終的に大きな成果を得ることができる。という事を著したものだろう。しかし、このウサギとかめを、運動の違いに当てはめると面白いことが浮かんできたのだ。ウサギをジョギング、かめの方をウォーキングとすると、この違いは何か。いつも歩いている横を駆けていくランナーは、大きく息を弾ませている。ジョギングは心臓に負担をかける動脈運動だ。一方のウォーキングは、今日も隣りを鼻歌交じりで歩いているご高齢の方が良い例で、これは心臓に負担をかけない静脈運動になる。だから、鼻歌を歌ったり、世間話をしながらでも余裕で歩けるのだ。しかも、大きな利点として、ふくらはぎの下腿三頭筋などは下肢の筋ポンプ作用といい、心臓に戻る血液を促す働きに大きく作用するのである。
 この二つの運動の特性を陰陽でわかりやすく表したのがこの物語ではないだろうか。陽性が動脈であり、陰性が静脈である。この相反する作用をこの物語りに当てはめると、うさぎ(陽性な運動)は瞬発力がある反面、持続性がない。一方、かめ(陰性な運動)は、瞬発力はないが持続力がある。更に、陰極まって陽転すという言葉が示すとおり、地味なことでも毎日コツコツ積み重ねることが、時には大きな成果を成し遂げることもできるということを暗示したものと感じたのだ。
 絶えることがないダイエットブームも思えば過激な運動が目につく。大きな陽は大きな陰を引き付ける。これは、休息や、継続性の困難を意味する、それに引き換え、教材やジムに行く費用もかけず、しかも穏やかな春の風を感じ、桜のつぼみが一日一日大きくなり、開花していく姿を見る機会に恵まれながら、この2ヶ月間のウォーキングだけで何と4キロも体重が落ちた。これこそ地味だがささやかな陽転のおかげではないだろうか。