地球冒険塾始動
2005年12月1日
かれこれ10年ほど前のことになる。知人に誘われて行ったサロン風飲食店が、エリカ号で世界一周をした長江さんの経営してる店だった。まっ先にお店の奥にある地球冒険塾と書かれた部屋に通された。そこはたくさんの航海の写真や、本に囲まれた空間だった。いつしか時間を忘れて長江さんの世界一周の話しに聞き入ったことを覚えている。その頃から長江さん思い描いていたものは、部屋の名のとおり「地球冒険塾」という夢だった。それは、高校生を主体とした若者達が自分達の手でヨットを操船し、世界の海を航海するというものだ。そして、その様子をドキュメンタリーにして、全国の学校や公共の場で上映し、多くの青少年たちに見てもらい、若者達に夢や勇気、希望を持つ機会に出来ないか、というプロジェクトである。現在の社会が問題や破綻をきたしているのであれば、大人の一人として、解決への方向を示す必要があると考え、帆船での航海を通じて広く世界に目を向け、未来に「夢」を描き、挑戦する若者たちの姿を伝えたいという思いが、その目に満ち溢れていた。
今から24年前、自ら約5年をかけて設計、建造した44フィートのコンクリート製外洋ヨット「エリカ号」で家族を伴い、太平洋を60日かけて横断後、カリブ海、大西洋、地中海、インド洋などを巡る世界一周の航海をした。途中、時化や嵐、座礁、落雷など幾多のトラブルにも見舞われたが、無事6万キロの航海を遂げたのである。そんな冒険家が見る次の夢。その夢の実現に向けて奔走していた3年ほど前、心臓弁膜症を煩い、死の宣告を受けてしまう。しかしNHK「プロジェクトX」に登場した、天才心臓外科医、葉山ハートセンターの須磨ドクター、磯村ドクターによる心臓の大手術を受け、奇跡的に蘇った。その後順調な回復を遂げ、今月のはじめには、なんと再び夢の実現に向かって航海に出たのだった。(今回は海洋ゴミ、漂着ゴミ等の現状調査を目的とした約3ヶ月の航海だそうだ)
心臓の生体弁は豚の心臓弁から作られ、移植後のトラブルが少ない反面その寿命は10年といわれている。人の夢と書いて「儚い」と読ませるが、限られた時間に夢を実現に向けて進んでいく姿は、まさしくキャプテンの名にふさわしい。そして、大きな勇気と希望を与えられる。