葉っぱ Iさんからのプレゼント

2006年6月1日

 雨が続いた先月中旬のこと、その日もあいかわずの雨模様だった。そんな中をバスを乗り継いで?さんが来てくださった。当店の会員様の中で最高齢の方だ。私はお会いする度に、田舎の祖母を思い出す。私の母の実家は長野の善光寺から車で北に30分ほど走った山あいにある。周り一面をリンゴ畑に囲まれたのどかな風景は今もさほど変わりはない。変わったといえば、オリンピックが行われたことで道がきれいになったぐらいだ。実家も広い運動場くらいあるリンゴ畑を営んでいる。幼いころの記憶は不思議なくらいその風景で覆いつくされる。昆虫図鑑でしか見たことのなかったオニヤンマやミヤマクワガタを捕まえては友人に自慢していた。子供にとって宝の宝庫だったかもしれない自然に惹かれて、時には一人で電車に乗って遊びに行ったこともあったそうだ。元気すぎたのか横着かったのか、祖母にお仕置きとばかりよく物置に閉じもめられたことも淡い思い出となって残っている。
 いつもお土産話をお聞きするのだが、その日はIさんから一冊の本を頂いた。読むだけで運がついてくるという。といっても宗教的なものではなく、さまざまな思想の垣根を越えて気軽に読めるとのことだった。祖母のようなIさんから言われる言葉はすんなり体に溶け込んでいった。50ページほどの小冊子だったが、読み終えたあと、しばらく不思議な感覚になった。
 その本は、紛争耐えない中東に興味を持った一人の青年が、湾岸戦争の年の末にイスラエルへ単身旅行へ出かけた時に、不思議なおばあさんに出会ったことから始まる。そのおばあさんは、「これさえ唱えていれば、誰でもツキっぱなしになる」といいツキを呼ぶ魔法の言葉を彼に二つ伝える。どんな言葉と思いきや、「ありがとう」と、「感謝します」というごく普通に使われている言葉だった。いやなことがあったら「ありがとう」。逆に、良いことがあったら「感謝します」何度も繰り返し繰り返し言うようにすると自然とツイてくるのだと。この出会いで、彼の人生はガラリと好転する。詳細内容は是非、ご一読いただくまでの楽しみにとっておきたいと思う。
 有り難いとは、「有」ることが「難しい」と書く。私たちが普段なにげなく使っている言葉に福を呼ぶ言葉と、不幸を呼ぶ言葉があるとしたら、当然福を呼ぶありがたい言葉を選びたい。そうすると心の動きも変わってくるだろう。笑うことは「ハハハ」と、息を吐き出すことで、新鮮な酸素が体をめぐる。そして13の神経が動き、ホルモンが分泌されて積極性が出る。それに対しイライラしたりくよくよ心配しすぎると47本の神経が動き、アドレナリンが分泌され、しわがよって厳しい顔つきになり、やがて自律神経失調症になるそうだ。ツキも心の持ち方で変わってしまうのは当然であろう。
 遺伝子の研究で有名な村上和雄氏は、地球に最初の生命が誕生した38億年前にあった遺伝子が、途切れることなく現在まで生き続けいること自体が、有り難いことと語っている。今日存在している私たちはどの人もみな38億年間勝ち続けてきたエリート中のエリートの遺伝子を持っているらしいのだが、その確率は何と、一億円の宝くじに百万回連続で当選することを狙うと同じようなものらしい。そう思うと今生きてここにいること自体が最高に有り難く、ツイているのだと思えてくる。
 さらに村上氏は「真理はとてもシンプルですから私は、あまりゴテゴテ理屈をいう人の説明は聞かないでおこうかとも思っています。それは、真理から最も遠いことかもしれませんので・・」と語っている。
シンプルな中に深い真理を感じたプレゼントに祖母?へ感謝したい。
参考著書:ツキを呼ぶ魔法の言葉 五日市剛氏講演筆録 
発行者 ソーシャルデザイン21 石川県金沢市八日市3-604 TEL:076-240-6060
宇宙のリズムで暮らしたい 吉丸房江著 地湧社 
つつしみの法則 村上和雄&中野良子対談 万葉舎