葉っぱ 意外な温暖化の原因?

2011年8月1日

 それは先月、友人とのふとした会話からわいた疑問だった。長い付き合いになるその友人は、かつて釣りバカ一歩手前ほどの愛好家だった。早朝、仕事の前にも釣りに行くほどだったが、最近は忙しくてめっきりその腕を試す機会はないらしい。渓流釣りには数回連れて行ってもらったことがある。そこで分かったことは、こちらは釣りよりどちらかというと食べ物や温泉のほうに興味がわくため、釣りを心底楽しむ性格ではないということだ。それでもお互い気にしないため、たまに誘いが来る。話しはその友人からの誘いで近くの温泉、元気の里に行ったときのことである。時節柄でつい原発の話になった。浜岡の名前を出したとたん、顔色が変わり、その周辺の釣り場の話しが始まった。原発から出る温排水はすごいらしい。排出された温排水は湯気で一面真っ白というのだ。そしてその暖かい海水に彼らが言うGTクラスの大きな魚も群がってくるので、そこに竿を投げて釣るのが醍醐味だったという。釣り好きからしてみればその排水が止まれば、もはやその光景は見られないというため息交じりの話しで終わったのだが、その温排水とはどの程度のものなのだろう。海を容赦なく温めているのである。その疑問が頭から離れなかったのだ。
 今年は、梅雨が明けたか分からないうちに一気に真夏日となった。例年と変わらず、湿度の高いうっとおしい暑さが続いた。ところが異変が起きた。夕方になると、秋を思わせるようなやわらかい風になった。あの蒸気熱を思わせる風ではない。これは素人考えだが、すぐに浜岡原発が浮かんだ。原発が停止したからではないのだろうか。原子力発電所で生み出される熱はおよそ300万キロワットになるらしい。そのうちのわずか1/3だけを電気に変えて、残り2/3の熱は、何と海に捨てているのだという。その正体があの温排水だったのだ。なんと1秒間に70トンの海水を原子力発電所内に引き込み、温度を7度も上昇させて海に捨てているのだ。しかも配管に付着する物質を防ぐための薬剤も一緒に流しているのである。これが日本全体の54基全部で稼動してたらどうなるだろうか。生命の源の海へ、天に唾するような行為が長い間無言のまま行われてきたのである。毎年のように海水の温度上昇のため、自然災害の激発と共に生態系への影響が危惧されるとメディアは警告するが、それならどうしてこのことを指摘しないのだろうか。CO2を削減し、地球温暖化に貢献するといいながら、この一点だけ見ても温暖化と環境破壊の原因ではないのか。3月時点で稼動していた原発37基が、停止や点検もあって現時点で16基になった。これがこの夏の温度に影響していると思うのは私の思い過ごしだろうか。来年、点検も含めて全国の原発が止まる可能性がでてきたらしい。そうなれば、生まれて始めて原発のない夏が体験できるかもしれない。本当の日本の夏に出会えるのだ。
 最近、東京新聞に代える購読者が急増しているそうだ。そういえば自民党議員の72%が東京電力から政治献金を受けていた記事があった。道理で原発停止に反対のわけである。もはやこうなれば政治信条もない人間がバッジを付けただげのお役人である、それならいっそのこと党の名前も原発党に改名すればわかりがいいのではないか。国絡みで独占を許したマンモス企業に、今や手や足を縛られた状態の中、共生か強制かの攻防が、これからの日本を大きく左右することになるだろう。

参考著書:DAYSJAPAN8月号 小出裕章の放射能の話