
お米作り始動
2025年3月2日
昨年は、暑い日が長く続いたため、その高温障害などもあり、籾摺りで撥ねられたお米が相当量ありました。そして何よりの反省点は、苗が雑草に負けてしまったことです。そんな田んぼの状態を作り出してしまった自分に腹が立ちますが、もう取り返しがつかないことで、今年こそは、その反省をバネにお米作りに取り組もうと、実は昨年の十一月に、お米の収穫を終えた後から田んぼ周辺の改善に毎週足を運んで進めてきました。
田んぼ周辺は山に囲まれて、その山々がはぐくんだ湧き水を利用させていただいています。その恵まれた環境に、今までお礼すらしてなかったことに気付き、周辺の樹木や竹林の整備をすることにしました。田んぼの周りはほとんど手つかずで、人の手が入らないため、蔓草が生い茂り、小さな木はそれに覆われて日光も当たらない可愛そうな状態なものが、点在していて大きな樹木も、蔓科の植物に幾層にも巻き付かれていました。竹林も同様に手つかずで、これもまた厄介。ネットで情報をゲットしながら週に二日足を運び、間伐しながらようやく年末にはかなりの範囲整備をできたと思います。伐採した竹は、節で切って、畔の補強に使っています。昨年はモグラに穴をあけられた水が抜けるという被害が何
回もありました。その対策に、彼岸花の苗も植えました。彼岸花の根にはリコリンという有毒成分が含まれているため、モグラはこれを嫌う習性があるそうです。
山からの流水は、大雨が降ると氾濫して流れが変わってしまうため、水路も補強して流れが変わらないようにしました。田んぼには米ぬかと稲わらを撒いておきました。これらの整備は、冬の雨量の少ない時期で乾燥しているときが一番最適と気づきました。木も竹も、水分量が少なく、休眠期に入っていますから、道理で作業しやすかったのです。4月ごろになると日差しで汗はかくし、余分な体力を使ってしまいます。それに比べ寒いときのほうが、断然体力の消耗が少ないのです。
ということで、昨年は3月からスタートした田起こしを、2月の今年一番の寒い時期から作業をスタートしました。海沿いのため強風の日が多く、体感温度は、気温よりより低く感じられることが多いです。田んぼの表土が凍っていることもしばしばでしたが、作業をしていると、ちょうど心地よい感じで、日差しが暑く感じることすらありました。田起こしも3枚を間もなく終えることができるところ
まできました。春に向けて土壌を掘り起こし、天地返しすることで有機物が下層に漉き込まれて分解が促されるそうです。土壌がより改善されるようにと、願いを込めました。
米作り12年目にして、ようやくお米作りは一年通しての仕事なんだと実感したのですが、気づくのが遅いというか、米の出来不出来は毎年の一発勝負のために、毎年さまざまな問題が起きるのも事実で、こればかりは経験からしか学べないことばかりなんですね。
自然栽培でのお米作りは、年々収穫量が減るなどと揶揄されますが、農薬も化学肥料も使わないからこそ、手を掛けなければいいお米は作れないということだと思います。
手応えを感じる今年の米作り。自然の猛威に畏敬を感じながらも、今できることを精一杯やるということに尽きると感じます。収穫を祝い、豊作を願う、日本の伝統的なお祭りには、神に祈りを捧げ、感謝することが根本にあると言われます。そんな伝統が今も深く息づくこの国の美しさに触れながら、今年も頑張って行きたいと思います。