葉っぱ いよいよ田植え

2024年5月1日

 お米作りには、苗半作(なえはんさく)という言葉があって、良い苗が作れるかどうかで、ほとんど決まってしまうという喩えがあります。イセヒカリの種籾を譲り受けた時、この種籾をどう立派な苗にできるのか、手探り状態だったので、苗づくりをしてくれる仲間にお願いして育ててもらっていました。そんな半人前が一昨年前から、苗作りに挑戦しました。初年度は苗になるまでにほとんどスズメに食べられてしまい、2回目の昨年は、低温だったせいか芽も出ませんでした。その度、イセヒカリを農薬不使用で栽培されている方に苗を分けていただきながら、何とか続けてこれました。今年は一から勉強しようと、自然栽培で広く野菜やお米作りをされている青ノ木農縁の青木さんに頼み込んで、一緒に苗づくりをさせていただきました。
 まずは種籾の温湯消毒。種子に付着している菌を消毒する作業です。慣行農法では薬物が使われます。お米が赤ちゃんのときから薬漬けというわけです。人間の赤ちゃんも生まれてからワクチン漬けにされます。半年で15回以上打つわけです。当たり前と思いますか?私は怖いと思います。
 薬を使わず、60度の熱湯で10分消毒します。これは何年もやってることなので、頭に入っていたつもりでしたが、水温をかなり厳格に守ってされていました。というのも10分という時間を一定温度にするのはけっこう骨の折れることなんです。今までは水温が低くなったら熱湯を入れてましたが、70度のお湯を作って、あまり下がらないようにその都度注いで、ほぼ58~9度を守っていました。温湯消毒が終わったら冷まして冷水に約一週間浸しておきます。累計温度が100度になると発芽します。早速同じ方法で店でやってみると、浸水させている水が、3日も経つと今まで汚れていたのですが
、それが全くありませんでした。それだけ雑菌が消毒されたということですから、いかにこの温度管理が大切かということを痛感しました。発芽するといよいよ籾まきです。ここでも今までとかなりやり方が違っていました。そしてその理由が明確なところが、ご自分で試行錯誤されてたどり着いたことだと感じられました。さらに今後も変化していくでしょうし、答えは一つではないということなんです。自分で気づき、絶えず修正していく、それが今の時点の最高の方法であって、また来年はやり方が違っているかもしれない。大変大切なことを学ばせてもらった気がします。
 今までは育苗箱に一面、発芽した籾を撒いていました。一般的には200gと言います。それが、四分の一の50g。苗を無数に育てるのではなく、一粒一粒の籾を大きく育てる。そのためにはたくさん撒いてしまうとそこそこの大きさにしかならない。そのために50gで十分だということでした。そういえば種籾を分けてくださった農家さんも、一本植が理想なんですと、毎年のようにおっしゃっていましたが、まさにそうするために、育苗も少ない籾にすれば、それだけ大きく育つということなんです。
 お米作り十一年目。青木さんのおかげで苗は順調に育っています。今年は、一本植ができるかもしれません。そんな期待をしていると、田んぼの田起こしや畦作りといった辛い肉体労働にも力が入ってくるから不思議です。田植えは今月の26日を予定しています。店は臨時休業になりますので、ご了承ください。