お米作り10年目を終えて
2022年11月3日
今年は脱穀の日までがほとんど快晴続きで、天日干しには最高の年となりました。稲架に掛かった稲も、すっかり乾燥してるため、軽くて作業は捗りますし、老朽化した脱穀機も、順調よく働いてくれたため、4組で作った稲が2時間程度ですべて脱穀され、片付けも終えることができました。
翌日には籾摺りをしていただくために、杉浦農園さんに伺い、いよいよ今年の出来高が分かる瞬間となります。当店で育てたお米は、脱穀した時点で大きなコンバイン袋に3袋。けっこう取れたかなと思うのですが籾をとって玄米にする過程で未成熟なお米や、小さなサイズ、カメムシに食べられたものなどは選別してはねられてしまうので、一体どれくらいになるのかは毎年の不安要素です。昔は、脱穀も籾摺りも機械などないわけですからオール人力だったわけでしょう。いかに一粒のお米になるまでの過程と苦労が大変なものか。やってみてはじめてその大変さが身にしみて分かります。
大井の田んぼは、山からの水を引いた昔ながらの作りのため、深いところで膝上まで沈み込みます。慣れてないと立っているのがやっとでしょう。この田んぼのおかげでどれだけ体幹が鍛えられたか分かりません。しかしこのような機械が入らない作業に不向きな田んぼは、どんどん放棄されていってます。減少した面積でどれくらいのお米を作れるかを計算したサイトがありました。田んぼの場合1haで6千kgとして計算すると、51,600t。日本人一人あたりの年間消費で換算すると、1万7千人分に相当するそうです。
そんな数字を出したあとに今年の出来高ですが、43kgでした。例年より2割強少ないものでした。今年は、早場米が順調な収穫量だったそうです。遅場米は、長雨の影響もあって、どこも収穫が伸びなかったようです。天候だけは致し方ありませんが、最近の異常気象でもこうやって収穫できる力強さは、先祖代々、お米を主食として生活してきた風土が作り上げてきたものなんでしょう。残したいものです。
十一月からカフェで、毎週金曜日にこのイセヒカリをご提供させていただきます。(量が少ないため、ご飯のみの注文はお断りしています。)
深刻化する食料問題。もはや人任せとはいかない気がします。貸し農園もいたるところで広まってます。会員様からいただいた本の中に、興味深かった内容がありました。
ロシアでは、8割もの人が「ダーチャ菜園付き別荘}を持っていて週末には必ずと行っていいほど出向いて農園や家の手入れをして過ごすそうです。そして一年分の食料のほとんどをダーチャで自給し、保存食を作るといいます。ソ連崩壊時、給与が支払われず、ハイパーインフレで紙幣が紙くずに化けたときも、ロシア人は、飢餓で苦しむことがなかった。それが、このダーチャ生活の備
蓄のおかげだったんだそうです。
梅やらっきょを漬けたりしていていた母親を思い出します。備えあれば憂いなしですね。