葉っぱ 分かってない

2008年3月1日

 分かっているつもりで、一番わかっていないのが自分のことだとよく言う。今回はそのことを痛感した。先月の始めに体調を崩したのだが、最初は軽い風邪くらいに思っていた。少しのどが痛くなった程度だったからだ。のどの痛みにはれんこん糖エキスと、決めてかかって飲んだ。しかし飲んでも一向に良くならない。痛みは治まるどころか、さらに増し、とうとう咳き込むようになった。そうなってからでは遅かったようだ。悪寒がし始めた。熱い温度にして長時間の腰湯をしても、体が冷え切っているせいか、汗も出ない。食欲はなくなり、何も食べずに、まだ腰湯の熱が体に残っている間に寝床に入った。一晩中寝苦しさに寝返りをうちながら、腹部に手を当てると、すっかり冷え切っている。原因はどうやら内臓の冷えから来るものではなかったか。
 そこで翌日、翌々日と、スタッフの美味しそうな食事を横目で見ながら断食を続けた。その間、玄米クリームや、抗酸化食品のヘルシーアルファー、柿茶、アスミンを十分とった。寝込まなかったのは、ようやく体の声に気づいてそれに従ったからかもしれない。体は徐々に軽くなり、腰湯でも上半身が発汗し始めた。抵抗力を失いかけていた体が回復し始めたのだ。しかし、のどの痛みを単なる風邪の引き始めと侮ったツケは、結果的に、全快に至るまで3週間かかった。思えば、昨年もひどい猛暑だった。ビールと、クーラーなしでは寝られない日もあった。それが一転して長い冬が続いた。いや、まだ続いている。一年中体を冷やしっぱなしにした結果、その警告が、のどの痛みとなって現れたのだろう。ちなみに、東洋医学では、のどは肺と胃の扉と言われているそうだ。
 ノーベル賞生理医学賞を受賞したアレキシス・カレルの作品を、桜沢如一氏が翻訳した「人間?この未知なるもの」という本がある。20年ちかく前に読んだ本だが、出版されたのは今から90年程前のことだ。書かれていた内容は、現在の新刊と思われてもおかしくないほど未来を予知し、多くの警告を残していた。科学的に、生理学的に人間を追及し、探求した彼が、「われわれ人間は人間を知らない」「病気を治すのは、薬ではなく、われわれ自身である」と、語っていたことを思い出したのだった。