葉っぱ 経皮毒

2006年7月1日

 ヘルシングあいを加藤ヒロ子先生から引き継いで10年が経った。この間、日本経済といえばバブルの後遺症でデフレ不況真っ只中だった。作っても作っても生産が追いつかない右肩上がりの成長から、一転、作っても物が売れない時代へと移行してしまったのである。失業者が増加し、リストラという言葉は、毎日のように紙面を賑わした。景気回復の兆しといわれるようになったのもようやく最近になってのことである。そんな中を通り抜け、今日を向かえることが出来たのは、多くの会員の皆様や、ご利用下さった方々のおかげであり、また良きスタッフに恵まれたことに深く感謝したい。
 先月、東京で行われた勉強会に参加した。その主なテーマは、「経皮毒」について山下玲夜さんがご自身の体験(子宮内膜症などを患った際に、シャンプーを変えたら治ってしまった)を元に、各方面の専門家の意見をまとめ、皮膚から浸透する有害物質の危険性を語ったものだった。その話しを聞きながら、ふと20年近く前の学生時代にタイムスリップした。というのも、その時分に読んだ本を思い出したのだ。それは郡司篤孝氏が書かれた“怖い食品と化粧品1000種”の二冊である。豆腐やハム・ソーセージにつかわれていた防腐剤のAF2に発ガン性を指摘し、全面使用禁止にいたる運動を担った氏の著書だった。日頃何気なく食べている食品に多くの食品添加物が含まれている。皮膚に塗る軟膏にステロイドが使われている。化粧品を使用して皮膚が黒ずむ黒皮症で苦しんでいる多くの女性がいる。それらを作ったメーカーを名指しで堂々と批判を浴びせている内容を読みながら、何も知らなかった当時の私は体中が震えるような衝動を受けた。食品や化粧品に使われている添加物を素人にもわかりやすく説明されてあったので、粗悪な商品を安易に生産するメーカーや販売会社の姿勢を正すのに大きな影響を与えたに違いない。この衝動は、著者に会いたいという行動に結びつくのに時間がかからなかった。著者が名古屋で講演する機会を捉えては、何回も足を運んでは聞き入ったのだった。
 時代は変わっても現状は決して良くなっていないようである。最近の経皮毒の顕著な例として夏の必需品である虫よけスプレーで事故がおきている。それに使用されている昆虫忌避剤(DEET)は、経口吸収の毒性は弱いのだが、経皮吸収が早い化学物質で神経毒性があるといわれている。安易に使えるため、小さいお子様がそのスプレーなどを継続使用して脳障害を引き起こしたそうだ。身近でも、先述した山下氏のシャンプーと子宮内膜症の例がある。子宮内膜症の一因として合成界面活性剤が水道水中の塩素と反応して、その生成化合物ダイオキシンの発生が、頭皮などから吸収されてエストロゲン(女性ホルモンのひとつで卵胞ホルモンとも呼ばれるもの)の働きをかく乱して起こると考えられているのだ。驚くほど危険な因子は、身の周りにあふれている。しかも知らずに使っていることに問題の根深さを感じる。その根深さは20年経ってもそう変わっていないのである。
 経皮毒から身を守るためにも、周りを総点検して、安全性の高いものに切り替えることはいうまでもないが、見識を持って、自信を持っておすすめできる商品をご案内したいと心新たにしたのだった。と、同時に、日頃から有害なものを取り込んでも対応できる健康な体を維持する情報もしかりである。

参考資料:経皮毒!? 皮膚からあなたの体は冒されている 女性を悩ませる経皮毒 日東書院