秋の七草
2003年9月1日
肌を刺すような日差しも徐々に秋の気配に移り変わろうとしている。例年通りの暑い夏だったのだが
、ほっと一息ついたこれからのほうが体調を崩しやすいので気をつけなくてはならない。長く続いた暑
さのせいで胃の消化機能が低下して、食欲不振の人も多かっただろう。栄養の吸収が悪くなり、ビタミ
ン、ミネラル、たんぱく質といった、身体に必要な栄養素が不足し、夏バテ特有の症状が出やすくなる
のはこれからだ。その上、ビールやジュースなど冷たい飲み物をとりすぎて、胃腸が冷えてしまい、胃
の働きが低下し、ますます食欲がなくなってしまう。そのうち乾燥した秋の冷たい空気に覆われるから
体もたまったものではない。
今年は、プール熱が流行したようだ(一昨年から患者数が大きく増加した)。原因は、主にアデノウ
イルスという。症状は39℃前後の発熱、咽頭痛、結膜炎、嘔吐や下痢を伴うこともあり、発熱は3~
7日間程度続く。特別治療法はないそうだ。さらに休む暇もなく、O-157でご承知の腸管出血性大
腸菌感染症が増えるというので感染症センターなどの機関が注意を呼びかけている。今までウイルスや
感染症といっても怖いのは冬場のインフルエンザくらいだったのにいつの間にか、年中何者かによる感
染の恐怖にさらされるようになってしまった。
それらの犠牲にならないためにも、弱った体に、抵抗力を取り戻すことが重要だ。抵抗力は、腸内細
菌の働きが大きく関係している。以下は、保健学博士の菅原明子氏の言葉を引用させていただく。
「腸内は酸性だとビタミン、ミネラルの吸収が良いため、ビフィズス菌などの善玉菌が自ら酢酸を生産
して、腸を酸性に保つ。逆に、腸が腐敗してアンモニアが増えれば腸はアルカリ性になり、悪玉菌が増
え、活性酸素を多く発生させる。・・ 腸内細菌を活発にするために、食物繊維などのセルローズ系の
ものは、乳酸菌などの善玉菌の繁殖条件になるので努めて摂取したい。」
腸内が常に酸性に保たれていれば、感染症の阻止に大きく働くということは、きちんとした食生活が
ウイルスや感染症から少なからず身の危険を守ってくれるということだ。
「やまはぎ、すすき、くず、なでしこ、おみなえし、ふじばかま、ききょう」と秋の七草に挙げられ
る野草は、整腸剤としての春の七草に対し、体を温め風邪を予防する意味があるという。季節の変わり
を敏感に感じた先人の養生訓に従い、七草とはいわないまでも、ゴボウなどの食物繊維をたっぷり含ん
だ旬の献立で、食卓をにぎわせてはいかがだろうか。
参考著書:「ウイルスの時代がやってくる」保健学博士・菅原明子著 出版社:第二海援隊