鍛錬
2005年12月1日
先月末に不養生から風邪を引いてしまった。若いときは熱がカーッと上がって翌日にはケロッとしていたものだったが、近頃は熱がなかなか上がらない。そのため体の中ではウイルスをやっつけるのに持久戦となり、情けないほど治るのに時間がかかってしまう。寝つきが悪くなり、年々体のだるさは辛くなる一方で、風邪ウイルスの強力な軍隊を前に病院へ行ってワクチン一本という安易な思いに駆られる。しかしそれを払拭できるのは、以前にもご紹介したが、野口晴哉氏著の「風邪の効用」を読んだからだと思っている。風邪は治すべきものでなく経過するもの。風邪が体の掃除をするとともに、安全弁の働きをする。風邪をひいたあとはあたかも蛇が脱皮するような新鮮な体になると説くその本の内容に賛同するからだ。ただ、その経過にもっと注意を払って生きたいと思っている。西式健康法では症状即療法といわれるように、経過よく対処すれば、もっと自信が持てるはずだ。「風邪の効用」風邪がもたらす効用書としてお勧めしたい本である。
毎年この時期になるとインフルエンザの猛威が伝えられる。香港?型か、ソ連?型など、今年は一体何型のウイルスなのかと。しかし、今年はインフルエンザよりもそのワクチンとされるタミフルに話題が集中しているようだ。その薬の副作用ではないかと思われる異常行動による死者や乳児の突然死が報告されているからだ。私は勉強不足でこの薬の名前すら、最近になるまで知らなかった。インフルエンザそのものではなく、その治療薬で事故がおこる可能性があるという皮肉な現象が生まれている。私たちは毎年到来するこの厄介者にどう対処すればいいのだろうか。
母里啓子氏監修の「今年はどうする?インフルエンザ」という本を紀伊国屋で購入して読んでみた。母里氏(元国立公衆衛生院疫学部感染症室長)が語り手としてさまざまな疑問に答える対談形式になっているので、簡単で分かりやすい。しかも医師や医薬専門家の所見や対談内容も書かれている。参考までに気がついた点を列挙してみたい。
・まず、インフルエンザは、風邪を引き起こすウイルスの一種(60種類以上)であるということ。
・インフルエンザウイルスは変異するため、それまでの抗体で防げないのでワクチンは効かない。
・インフルエンザは潜伏期間が1~2日で、症状は4、5日で消える。インフルエンザ脳炎や脳症の主な
原因は解熱剤らしい。
・タミフルは小児には使い道はない。(小児の予防には承認されていない)
・前橋市の全市立小学校の出席状況を6年間にわたって調べ、さらに、それらのうちから五つの小学校を選び、600人の二年生から採血してインフルエンザウイルスの抗体検査を実施、二年生が卒業するまで行われ、ワクチンがインフルエンザの予防になっていないことが明らかになる。これが全学校での予防接種中止へと広まる。今も生きる「前橋レポート」と言われるらしい。
・今年のワクチン需要見込みは2175万本。予防接種中止から30万本まで落ち込んだ製造量が2000万本にまで急激に伸びた背景には、需要を喚起して供給するしくみがあると思われる。
以上「今年はどうする?インフルエンザ」より抜粋。
インフルエンザに罹ってもせいぜい我慢するのは4日程度だ。それに毎年決まって罹るわけではない。日常の鍛錬で、自律神経を活発にして脳の機能を向上させる温冷浴は大変有効だろう。(ただし重症の慢性疾患がある人(高血圧、心臓病、慢性腎不全など)・酔っているとき、貧血気味の方はご遠慮下さい)最近ずっとご無沙汰だったが、経過よく対処するためまた再開する決意に至った。免疫学では「体温が1度上昇すれば免疫活性は3倍以上になる」といわれている。この熱の作用で白血球の働きが非常に活発になり、バイキンやウイルスを退治する力が増すのだ。これからの季節、寒修行と思ってお試しになりませんか?