葉っぱ 脳脊髄液減少症

2005年9月1日

原因が分からず体調不良を訴える人は私たちの周りに少なからずいると思う。先日、お客様から「脳脊髄液減少症」というはじめて耳にする病名を教えられた。長い間体調不良で苦しみ、入院や検査等繰り返したが、根本原因が分からず最近になってようやくこの病名にたどり着いたという。医療の中での認知度が低いため、この病気の検査や治療を受けるのは困難らしい。
その「脳脊髄液減少症」とは・・“交通事故やスポーツなどによる衝撃で脳をおおう硬膜に穴があくと、脳と脊髄(せきずい)の周囲を循環している脳脊髄液が漏れて脳の位置が下がり、頭痛やめまい、吐き気などの症状が現れるもの。髄液を採取した際に発症する「低髄液圧症候群」が知られていたが、むち打ちや転倒の衝撃でも、髄液が漏出すると主張されるようになった。国内で患者は10万人以上いるとの見方がある。患者本人の血液を注射し、血液凝固で髄液が漏れた場所をふさぐ「ブラッドパッチ療法」が有効とされる。現在のところ厚生労働省は保険適用を認めていないが、交通事故などの被害者らによって、むち打ちや転倒時の衝撃でも髄液が漏出することがあると主張され始めている。”(毎日新聞2005年8 月27日) この病気の症状は、長年にわたり、頭痛、首や背中の痛み、腰痛、めまい、吐き気、視力低下、耳鳴り、思考力低下、うつ症状、睡眠障害、全身倦怠感、慢性疲労などの様々な症状が複合的に現れるというから大変である。しかも普通の病院で検査をしても原因が分かりにくいために病状が分からぬまま、精神科を訪れ、山ほどの抗うつ剤を処方されるはめになるやも知れない。
この病名に関しての現状を少しでも知りたいと思い、脳神経外科が専門で、臨床と研究に20年余り従事した経験を持つ東名ふじもりクリニックの院長である永谷先生にお尋ねした。
「この症状は、交通事故などの外傷、脳、脊髄の手術後、腰椎穿刺(髄液を採取して、中の白血球を調べることにより、中枢神経系への腫瘍の進展の有無、感染症の有無などを調べる)などの検査後におこることが多いとされていますが、中には原因、誘因なく(特発性といいます)、横になってテレビを見ていたときとか、咳やいきみとか、脱水状態、過呼吸でもおこるという文献上の報告があります。立位(人間が立った状態)で悪化、臥位(うつ伏せ)で改善する頭痛が特徴で、このような症状があればまずその他のうつ症状も含め、脳神経外科あるいは神経内科専門医の診察を受け、MRIで画像チェックも受けるべきです。MRIは国立・市立の大きな病院なら必ずありますし、そのような病院には専門医は常勤でいるはずです。」という返事を頂いた。大きな事故だけではなく、生活の中のちょっとしたことで起こる可能性があるようだ。
もし万一、このような症状で悩んでいたら、先生もご相談に乗って頂けるとのことなので心強い。交通事故のむち打ちが原因で長年苦しんでいる話もよく耳にする。頭の片隅にこの病名を残して頂き、何かあった時に思い出して頂きたいと思う。なお、「脳脊髄液減少症」の治療法であるブラッドパッチ療法は保険適用も認められていない上、検査、治療を受けることが出来る病院が不十分な現状だ。そのため改善の確立を要望する積極的な署名活動も行われている。当店も少しでも多くの署名をご協力させていただきたいと思っている。

内科、脳神経外科、神経内科
東名ふじもりクリニック
院長 永谷一彦先生 名古屋市名東区藤森2-237 TEL:052-773-1010
URL:www.tfclinic.com
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