葉っぱ サクラダコミンカ in ブラウンズフィールド

2016年8月1日

  クラウドファンディング(不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す)で、「本気で遊ぶ仲間募集!素敵な古民家を、中島デコ、エバレットブラウンと一緒に創りませんか!?」というメール通知が届いたのが今から3年ほど前のこと。また何かはじまるのかと興味を持って読み進めると、あのサスティナブル(持続可能であるさま)なブラウンズフィールドに危機が訪れていた。その内容は、お隣のおばあちゃんが高齢のために、都内のご家族の元に行くことになった。そのおばあちゃんの家が、なんと築200年、2000坪という広大な敷地だったため、大きな資材用倉庫を建て、その後、たくさんある木々を伐採し、その古民家を取り壊し、整地し建て売り住宅を建てる目的で不動産屋兼土建屋が買い取ったという。
 デコさんが営むブラウンズフィールド周辺は、昔ながらの里山が残る美しい景観が広がっている。もし開発など始まれば、守り続けてきた持続可能な生活さえ脅かされてしまうことになっただろう。「なんとか資金を集めて、昔ながらの美しい日本の景観を守りたい。でも、ただ守っていくだけでは面白くありませんし、活用してこそ古民家も輝くはず。本気で遊ぶ仲間募集!素敵な古民家を、中島デコ、エバレットブラウンと一緒に創りませんか!?」というデコさんのメッセージに居ても立ってもいられなくなり、そのプロジェクトの仲間になりたくて手を揚げた。
 限りある期間に目標額を達成され、無事契約を交わして、その古民家が守られたとのメッセージを受け取ったのは10ヶ月後のこと。大きな安堵とともに、重い荷物にもなる古民家の買い取りに、人事ながら不安も感じていた。そんな気持ちを払拭してくれたのが昨年の9月、いよいよ古民家修復が始まるということで、土壁作りのイベントに参加した。それがまたスゴイ。昔ながらの工法で、竹を割って、竹小舞を編み、その上に、前もって崩しておいた古民家の壁の土を練りなおして、塗っていくというもの。まさに本気で遊んで古民家を修復していくというデコさん流。しかも参加している人達を見て、いかにブラウンズフィールドが愛されているかを実感した。
 先月末、古民家オープニングパーティーのお誘いを受けて車を走らせた。自分たちが関わった土壁は綺麗に形つくられていた。その上に更に漆喰を塗っていくという。それだけでも3年近くかかるとのこと。やってもやっても終りが見えないからサグラダファミリアならず、サクラダコミンカと自ら命名したデコさん。一連の流れの中に身をおかせていただいたことで、生きる力強さというものを肌で感じた。
 生きるっていうことは、大切なモノを守り続けていくことなんだろう。大変だからといってやめることは簡単かもしれない。しかし連綿と続いてきたものをやめてしまえば、後世に一体何が残るのだろうか。ブラウンズフィールドは、常にその挑戦者なのかもしれない。