
ふとしたご縁で
2025年12月10日
いよいよ暮れが押し迫ってきました。あっという間に一年が過ぎ去ろうとしていますが、手元に今年の新年にいただいた素敵な年賀の書をあたためていました。当店では多分最高齢と思いますが、95歳の会員さまが書かれたものです。
今までにも、何度か叱咤激励のお手紙と、なかなか年金ぐらしなのでお店にも伺えないし、お買い物もできないので、せめて切手代とお金まで同封していただいたりしてましたので、一度お目にかかってお礼が言いたいと思っていました。しかも今年は巳年の年男ということもあり、この書に導かれるようにご自宅のある中津川へお宅訪問をしてきました。
十一月にしては暑いくらいの日差しで、冷たい風が心地よく感じられるほどでした。突然の訪問でしたが、それがかえってサプライスで、不意な訪問にも関わらず喜んでいただけました。すぐ隣に美術館が併設されていましたので興味を持って尋ねると、鍵を開けてくださり館内を見せてくださいました。たくさんの彫刻と版画の作品がぎっしりと飾られていました。展示待ちの額装された版画も椅子に
重ねてありましたので、広い室内が、狭く感じられるほどでした。そして作業場だったところをアトリエに改装されたいう場所に案内していただくと、こんどはたくさんの書が飾られていました。そんな作品を見ながら入れていただいたコーヒーとお菓子をご馳走になって、おしゃべりを楽しみました。美術館の作品は、ご主人さまのものだそうで、名古屋に住んでいた頃の彫刻作品や、木版画による80年代のナゴヤの画集を出版するなど有名な芸術家だったそうです。そしてアトリエにある書の作品は、ご自身の作品だそうで、ご主人に負けると劣らず書道家だったのでした!今でも週に一回は、書の教室に
行って学ばれているそうです。その情熱が伝わってくる書を、解説を交えながら拝見させていただきました。写真に収めなかったのが悔やまれますが、また次回のお楽しみということだと思います。お話しをしていると95歳という年齢を忘れてしまうほど、いろいろな話題が展開していました、特に身の回りの世話をされている次女さまとのやりとりは、とてもお二人の関係が相互に思いやっているのが感じれて、大切なことを学ばせていただいたように思います。ご自宅の隣には、田んぼが広がっていて、お米も自給自足、その手前の畑は、私のテリトリーと言って、95歳の今でも、マイペースで農作業もされているそうです。お二人で一緒の場所でするとついつい競い合っちゃうから駄目だそうです。人は、年齢で生きているわけではないのですね。いつまでも生き甲斐を持ち続けていれば、いつ死のうが関係ないわけで、その生き方が、周りの人たちに証を残すのでしょう。まさしく現代の理想形の生活をされている方に巡り会えた年の瀬の旅となりました。

