葉っぱ 11年目の米作りを終えて

2023年11月14日

 まだ肌寒い時期から田んぼを鍬で起こして代掻きをし、ようやく田植え。そして暑い夏を越してようやく涼しくなったころに稲刈り。長いようで、終わってみればあっという間のお米作りを今年も無事に終えることができました。
 思えば今年も最初からつまずきました。苗づくりを失敗し、イセヒカリを作っている知り合いの方から分けていただくことからスタート。ところが、先に田植えをした他のメンバーが、その翌日に降った大雨で、苗の大半が流されてしまうハプニング。しかしその補足分の苗も分けていただくことができたので大事に至りませんでした。しかし畔が大雨の影響で脆弱になり、辺り一面ぬかるみ状態。その上モグラに穴をあけられて、水が漏れてしまうというトラブル続き。その都度穴を埋めたりあぜ板で塞いだりと、てんやわんやで寝ていても気になるくらい田んぼから目が離せない一年でした。そのため、毎週のように足繁く通い、雑草取りにも専念したため、いつもの年より株が大きく育っている気がしていました。そして稲の実が色ずく頃を迎え、そろそろ収穫が近くなったころ、一部の稲が倒伏していることに気付きました。よく倒れる原因は、栄養のやり過ぎと言われますが、山からの水だけで肥料などは加えていません。どうしてなのか、今も理由は分からないのですが、ネットで調べてみると、密植などの
日照不足が考えられるとありました。「植物ホルモンは成長を促進すると同時に、光によって働きを抑制する性質を持っています。日照不足の植物は、この成長ホルモンの働きが抑制されず徒長します。例えば葉が茂りすぎて過繁茂になった田んぼの場合、根元が日陰になるため徒長しやすくなり、倒伏の原因になります」。もう一つの原因は、猛暑でカメムシが発生していたことです。確かにほとんどの稲が例年より背丈が伸びていましたのでこれが倒伏の要因かもしれません。田植えの際に、もっと間隔をもっと開けて植える必要があったのかもしれません。そして年中山の水が流れている田んぼですから、中干しといって、梅雨が明ける頃から、水を落として、根に酸素を供給する作業があるそうです。
 「中干しをすると、根の活力が増加してしっかりと張るようになります。逆に中干しができていないような田では、根が弱く、稲体を支えきれず倒れます。」
 なんともいやはや、十一年目にしてこれほどの課題がでてくるとは思ってもみませんでした。
 農業従事者を「百姓」と呼びますが、まさしく百の姓を持つほど、様々な仕事をこなせることを意味すると教えてもらったことがあります。まさに私自身がひよっ子で、自然と向き合うことへの奥深さをようやく知ることができた一年目だったように思います。
 さて、いよいよ籾摺りでようやく玄米となります。昨年より一枚田んぼを増やして頑張りましたので、収穫も多いのを期待しましたが、残念なことに昨年より3キロ減収でした。他のグループも同じく減収となりました。原因は、夏の暑さが長引いたため、早生品種の生産量は例年並みだったそうで
すが、晩生品種はその影響をまともに受けたようで、収量が軒並み減少したそうです。そうは言っても、例年並みの収穫ができたのですから、良しとして、山積した課題は来年の糧にしようと思います。
 今月から毎週金曜日、週に一回、無肥料天日干しで作ったイセヒカリに、約50種類の黒米や赤米などを混植で育てた生産者である上野長一さんのいろいろ米を、1割程度ブレンドしてご提供させていただきます。上野さんは栃木県で30年以上除草剤も農薬も化学肥料も不使用でお米づくりをされてこられた方です。稲の種を集め、種子更新を続けて、約500種の種を保有しています。その中の50種がいろいろ米で、当店で販売しているものです。長年の活動と功績が称えられ、「第44回山崎記念農業賞」を受賞されました。
お楽しみにしてください。