葉っぱ 燃える闘魂 ラストスタンド

2021年12月1日

子供の頃のテレビの記憶といえば、プロ野球の王、長嶋、プロレスのアントニオ猪木、8時だよ全員集合!と、懐かしい顔ぶれが脳裏に蘇ります。
 その中でも「イノキ!ボンバイエ!」「イノキ!ボンバイエ!」炎のファイターのテーマソングにのって登場するアントニオ猪木に、体中の血が騒いだ記憶があります。
「ボンバイエ」とは、コンゴのリンガラ語で「奴をやっちまえ!」を意味するそうで、今でもこのテーマ曲を聞くと、思わず血が騒ぎだす気がしますから、いかに当時の印象が大きかったことか想像できます。
 アントニオ猪木、本名は猪木寛至さん。昭和18年生まれで今年で78歳。つい最近まで、変わらぬ姿で「元気ですか!」という雄叫びをどこかのテレビで見ていた気がしてましたが、先月末に放映されたBSの番組で姿を見て驚きました。
 ~アントニオ猪木 病床からのメッセージ~ 燃える闘魂・アントニオ猪木が未知の病と闘っている。アミロイドという物質が全身に溜まり血液循環が悪くなる”100万人に数人”の難病だそうです。病名は「全身性トランスサイレチンアミロイドーシス」。アミロイドーシスとは、肝臓で作られる「トランスサレチン」というたんぱく質が変性し、臓器にアミロイドという物質が沈着し、障害を引き起こす病気だそうです。
 げっそりと頬が痩けて、椅子から必死で立って、リハビリをする姿にかつての元気な姿はありませんでした。目を伏せたくなりながらも、あえて弱った状態を晒すことにした心境は一体何だったのだろうと思うと、かえって目を離せなくなりました。
  「”元気があれば何でもできる”今度は自分に言い聞かせて最強の敵と闘っています。人に言ってながら、自分がこうなってしまって、普通ならギブアップですね。でもファンが許してくれないでしょう。」病室で語る口調は、流暢で、病人と思えないから不思議です。病院内では患者さんに見つかったようで、「尻隠してアゴ隠さず」と時折、茶目っ気たっぷり自虐ネタで笑いを取ろうとするところなどは、病室でも「アントニオ猪木」というスターのサービス精神なのでしょう。付きそい方に、あまり元気すぎると、番組が成り立たなくなりますよと、釘を刺される一幕もありました。
 通算成績シングル戦 – 612勝41敗50分 タッグ戦 -1466勝104敗130分。自身の最強を証明するため、異種格闘技路線に挑戦。なかでもプロボクシング統一世界ヘビー級チャンピオン、モハメド・アリと対戦したことなどは、ご存知方は多いのではないでしょうか。
 その後のエピソードとして、後に猪木さんの健闘を称えたアリから「アリ・ボンバイエ」が贈られ、猪木テーマ曲にアレンジされたのが、炎のファイターだそうです。 格闘技界に身を置きながら、政界に進出したこともありました。スポーツ平和党を結成し、湾岸戦争では、「平和の祭典」を行うことを発表。猪木さん個人で費用を負担してトルコ航空機をチャーター、関係者や人質被害者41人の家族46人と共にトルコ経由でバグダードへ。そしてこのイベントの開催後に、在留日本人と全人質が解放されたそうです。
 波乱万丈な人生のラストスタンドが、難病、自分との戦いというあまりにも皮肉な運命に思えますが、「死ぬとわかっていても、どう生きてどう行動するかが重要だ」と語る姿は、最後まで元気を与え続けようとするアントニオ猪木そのものでした。何度倒されても立ち上がり続けた男の再起を信じ、自らの引退試合で引退メッセージとしてファンに贈った詩を、胸に刻みたいたいと思います。

 「この道を行けばどうなるものか 危ぶむなかれ
    危ぶめば道はなし
         踏み出せばその一足が道となり
               その一足が道となる
                 迷わず行けよ 行けばわかるさ」


参考:NHK 燃える闘魂 ラストスタンド
   :世界の民謡・童謡
   :ウィキペディア(Wikipedia)