再会から十年経って
2020年10月1日
年々、薄れていく過去の記憶の中でも、小さい頃に崖から落ちて頭を大怪我して、手術をしたり長い入院生活をしたりと、両親を心配させたことは今でも断片的ながら鮮明な記憶として残っています。特に、長かった入院生活では、家族的な雰囲気の病院だったせいか、院長ご夫妻はじめ看護婦さんにとても可愛がってもらって、楽しかった思い出しか残っていません。
退院してからも、何かあれば決まって行く外科病院でした。当時の名医と呼ばれた先生を紹介してもらい、手術していただいたおかげで、後遺症もなく治ったことに感謝しなさい、ことある度に母親から言われてきましたが、おかげ様でその後は、病院に行くこともなく過ごしていました。
そんな折、ちょうど十年前のお便りに書いたのですが、取引先の方から、こんな相談を受けたから会いに行って説明してほしいと言われたのが、何と当時お世話になった、院長夫人だったのです。 体調を崩したことがきっかけで、食事を見直し、それによってここまで回復したというお話しを伺いながら、四十年ぶりの思わぬ再会に時間を忘れて聞き入っていました。今の自分の仕事だから何らかお役に立てるご縁の不思議さを感じた次第です。
そんな再会からさらに十年。今もそのご縁は続いています。先日、お歳をお聞きしたら九十歳ということでした。頭脳明晰で、シャンとしておられるので、そんなお歳には到底見えません。それでも、寄る年波で、筋力の低下や、足腰の不調など、仕方ない事情が襲ってきますから、一人での生活が次第に困難になっていくのを感じらずにはいられません。
二ヶ月ほど前に、お電話を受けたときは、普段、気丈なお話し振りをするのに、全然覇気がないため理由を聞くと、排便がなく、お腹が苦しいということでした。頼まれものを持って伺うと、痛みで冷や汗をかかれていました。心配になって何かお世話できることはないですかと、お聞きしたところ、その時はお願いするからと言ったきり、しばらく時間が空いたのですが、その後、お電話を頂いたときも、まだ調子が優れない声でした。
そこで、午前中は、野菜ジュースだけにして、空腹を抑えるりんごジュースくらいを数日続けられたらどうかとおすすめしたところ、大変調子が良いという嬉しい経過連絡をいただきました。
体のリズムは、午前中は排泄の時間です。これは研究で明らかにされた「24時間周期の体のリズム」で、「人間の食べ物を処理する能力は、毎日決まって起こる3つのサイクル、毎日食べ物を取り入れ(補給)、その食べ物の一部を吸収し(同化)、使わない部分を捨てる(排泄)が効率よく機能し
ているかどうかにかかっている」に関する研究成果が発表されています。
体からの老廃物を排泄する大切な午前中を、排泄を手助けするような生活に変えれば、大切なお肌や胃腸などに、とても良い効果があるのは当然のことではないでしょうか。いつまでも健やかでありたいというのは、誰しもが思うことです。しかし老いとともに健やかであり続ける難しさも、目の当たりする今日このごろです。排泄の時間である午前中をどう過ごすかが、健やかな生き方の鍵を握っているように思います。