消費税増税を考える
2019年10月1日
今から九年前、ロンドンへのはじめての一人旅。その目的は長くなるので差し控えますが、その年のロンドンは、大雪でした。成田空港での搭乗の際、ヒースロー空港が大雪で着陸できない状態のため、前便は日本へ引き返したとのことでした。案の定、ロンドン上空まで来ていても着陸する様子がありません。どうお空港の除雪作業を旋回しながら待っていたようで、予定より3時間以上の遅れで無事にゲートを出たのですが、既に辺りは薄暗く、深々と雪は降り積もっていました。英語もまともに出来ないので身振り手振りでなんとか宿泊先までの行き方が分かりました。
地下鉄の最寄り駅に到着して、階段を上がっていくと、辺りは白銀の世界。氷点下を大きく下回る気温。映画のワンシーンかと思うのもつかの間、この状態でどうやってホテルに行けばいいのだろうか!?。下手したら凍死?。落ち着いて案内図を探すと、出口付近にそれを発見。シンプルで分かりやすい図にストリート名を探して、難なく宿に着きました。前置きが長すぎましたが、もう少し続けさせていただくと、翌日は、ロンドン中を手当たり次第観光に繰り出し、チューブ(地下鉄)を程なく乗りこなせるようになりました。ここでも路線が色分けされていて分かりやすい。チケットを購入するには窓口もあるのですがとても割高。どこの国でも人件費が一番高い。それを当たり前にしているところが日本との違い。日本のスイカにあたるオイスターカードを購入すると約半額近くで乗れることも分かりました。
3日間の短い旅でしたが、翌年から消費税が20%になることもあり、緊縮財政を感じさせました。地下鉄の蛍光灯は何本か切れていて、社内が真っ暗になることもありました。しかし、一人もそれに動じていません。新聞は人の見たものを使いまわしても当たり前。慎ましさを感じたくらいです。一方で我が国はどうでしょうか?
原発事故以来、薄くらくしていた電気をまた煌々と照らしながら原発を稼働することを当たり前に口にする政治家。消費が落ち込んでいるのに更に上乗せしてとどめを刺すような増税策。自動車への追加関税を回避する代わりに、農産品関税引き下げなど、私達が生活していく上で一番必要なコミュニティーがどんどんと追いやられていきます。生産者が高齢化する中で、国際競争力なんてあったものではありません。そして今度の軽減税率が施行されると、今までレジを持たなかった小規模の店舗はどうなりますか?税金の計算だけで大変なことになるでしょう。日本の良いところは、それぞれの
地域にコミュニティーが存在していて小さい町ができていたことではないでしょうか。商店街などはその名残だと思います。それを根本から引き裂くのが、今回の増税に思えてなりません。
9年前にイギリスを訪れた時、多くのカフェでは、ようやく日本で普及され始めたエアレジに近いものを使っていました。システムをデジタル化に移行するには、あまりの開きがありすぎるのです。我が国は海外からの観光で一時的に潤っているにすぎません。生活水準が低下する中、8%にあげた税金をさらに上げるとはどういうことでしょうか。軽減税率というならいっそのこと税率をなくせばいいでしょう。イギリスでは、食料品や、日常生活に必要なものの多くはゼロ税金です。フランスは、自国の産業を守るために軽減税率を導入しています。自国で生産が盛んなトリュフやフォアグラ、バターを軽減税率の対象にしているのに対し輸入が多いキャビアやマーガリンは対象外です。当たり前のことです。本当に今の政治家に任せておいていいのでしょうか。