内臓とこころ 2
2019年3月1日
沖縄島東海岸の辺野古。 絶滅危惧種・ジュゴンの餌の海草(うみくさ)が広がり、最も重要な生息地の一つであり、高さ二十メートルの断崖をなすコブハマサンゴをはじめとしたサンゴ群落が密集している自然の宝庫。そんな貴重な資源が残る海を埋め立てて、米軍飛行場を移設する工事のため、大量の土砂が投入されている映像が流れているのを無念に思う人は少なくないはずです。
沖縄の県民投票では7割を超える反対票が示されました。それに国はどう応えるのでしょうか。
民主主義の根幹に迫るこの票の行方は、決して対岸の火事ではないはずです。メガソーラー、リニア、ダム建設などの工事が当然とばかりに進む中で、そこで暮らしている人たちの生活も脅かされています。経済効果という名ばかりな政策で、二度と復元できない豊かな自然環境や私達の住むところさえ奪われようとしてます。
今や私達の住むこの国は、一昔前の技術大国から姿を変え、海外から年間三千万人ペースで推移している観光客を視野にして観光立国に突き進んでいます。そんな伸びしろのある産業を後押しするため、民泊などをはじめとした規制緩和も行われました。まだ多くの自然や古い町並みが残る日本に、多くの外国人の方に来ていただき、文化や人に触れていただくことはとても良いことだと思います。それを証拠に、上位に北海道や京都、沖縄など、その動きは地方に向かっています。
しかしその一方で、先に述べたような環境破壊が悠然と行われているのです。
多くの観光客が訪れる北海道で、地震による甚大な被害がありました。つい最近も震度6を観測しています。頻発する自然災害は、道路やダム建設など、自然環境を破壊することに対する神からの警告ではないでしょうか。
先々月のお便りでもご案内した三木成夫著の「内臓とこころ」から、人胎児の顔貌変化の図をご紹介します。
受胎32~38日の頭部と手の変化です。これら4つの姿は、4億年かけて進化してきた生命の記憶だと著者は語ります。右上の図は、32日目、軟骨魚類として海を離れずに4億年生き抜いてきたラプカの姿。36日目の右下は陸上に上がった爬虫類の姿に。そして38日目には哺乳類の顔にと、
脈々と続いてきた生命の進化を見ることができると教えています。私達の祖先を辿っていくと、すべて数億年という生物発生当初まで遡ることができるということです。私達は自然の一部なのです。その大きな自然に支えられて生命が育ち、私達が存在していることを語りかけています。