猿から見るストレス反応
2018年4月1日
数名のお客様から、横書きは読み難いという声が届いています。私自身も横に読むより縦のほうが読みやすいいと思いますので、今月から縦書きにすることにしました。また、ご意見等ございましたらお申し付けください。
昨年、十二月のお便りでご紹介させていただいたカール・ベッカーさん。その著書「愛するものをストレスから守る」から第一章の、猿から見るストレス反応をご紹介したいと思います。「我々がストレスを受けると、身体には猿とほぼ同じ反応が起きる。毎日のように、猿が拙宅の畑にやってきて、私の作っているトウモロコシやトマトなどの作物を食べてしまう。ところが、拙宅に猿がやってくる頃には、その天敵のマムシも現れる。猿はマムシを見ると、それが天敵であると本能的に分かり、体内には三つの変化が起きる。一つは、胃酸が増える。今、悠長にトウモロコシを食べて消化している場合ではない。このため、消化停止という意味で、胃酸がグンと増える。二つ目に、血液がドロドロになる。なぜかというと、猿も木から落ちると言われるように、怪我をするかもしれない。マムシに噛まれるかもしれない。怪我をしてサラサラの血液だと止まりにくい。そのため大量出血に備えて、血液をドロドロにする脂肪酸が分泌される。出血しても固まりやすいのである。そして三つ目はには、血圧や心拍数が上昇する。脂肪酸の多いドロドロの血液は重いので、体内を循環させるには負担がかかる。そのため、血圧や心拍数が上がるのである。
そこで、この胃酸が増え、ドロドロの血液の、心臓がドキドキした猿が、マムシの前でどうするかと言うと、マムシの姿が見えなくなるまで、谷間の反対側まで10分も20分も走って逃げて木に登るのである。実はそれが賢い行動なのである。なぜならばそれがこのストレスによる三つの体内変化を調整する唯一の方法だからである。常識で考えれば、十数メートルも走れば、マムシはそこまで追ってこない。しかし、猿はとにかく走れるだけ走る。これを有酸素運動という。10分も20分も運動して汗をかく。すると胃酸はおさまり、脂肪酸も調整される。血液もサラサラになり脈も正常に戻るのである。
人間も同じで、たとえば上司に叱られたときや仕事がうまくいかない時など、なにかストレスを感じ
た時には胃酸が増え、その状態が恒常的に続くと胃潰瘍になる。血液がドロドロになって、重い血液は血圧を上げ、血管を硬くする。それが高血圧や動脈硬化につながり、これらの症状が脳卒中や心筋梗塞の危険因子にもなる(以下省略)」
日常よくある話しで、私たちは多かれ少なかれこのような体調の変化を感じながら生活しているのではないでしょうか。健やかな生活を送るためには、身体の反応を知ることが大切ですね。咳や発疹などの症状も、身体が悪いものを外に出そうとしている反応と思えば、よく頑張ってくれているんです。身体の変化を知り、むやみに医者や薬に頼らず、自分自身を信じてその変化に委ねること。それが、健やかに生きる知る近道なのかもしれません。そんなヒントになればと思い引用させていただきました。