葉っぱ 千里の道も

2014年11月1日

   かれこれ2年経っても目入れができない達磨さんが店の事務所にある。この達磨さんは群馬県高崎市の名産で、群馬健康会館という長年、西式健康法の普及活動をしている宇津野先生がおみやげにといってくださったものだ。とても大きなものを抱えて持ってきて下さったこともあって、神妙な面持ちで一方の目に墨入れしながら願掛けをした。その時頭にに浮かんできたものは、程遠い目標だった。
 毎朝の日課としているものは、西式健康法の体操と体幹呼吸法で、両方合わせて約1時間かかる。体幹呼吸法は以前にもご紹介したことがあるが、骨盤や背骨の歪みをなくして体の幹を養う運動で、股関節や大腿骨をかなりいじめる。それも取り入れて2年が過ぎた。その間、筋を無理にのばそうとしたため痛めて休んことがあるが、それ以外はほぼ毎朝行っている。もともと股関節が硬いため、地べたに長い時間座っていると股関節の付け根が痛くなることがあって気になっていた。そんな状態からこの運動を始めたため、やること自体が苦痛だった。一つ一つのポーズが骨身にしみるとはこういうことで、よくもまあ今まで続けられたものである。股関節が硬いのと猫背、この自分の体の欠点を克服したいという意欲が続けさせたのだろう。
 つい先日ご来店されたお客さまと意気投合した。その方も数年前までは失礼だが、どちらかというと不健康な部類に入っていたように思う。それがそれから数カ月後に再度来店した時は別人のように良い顔になっていた。何をされているのか聞いたら、ピラティスを始めたという。なるべく時間があれば通うようにしているということだった。ピラティスも、体幹呼吸法同様、身体のコンディショニングを整える効果があり、体幹だけではなく四肢も含めた、筋力強化・柔軟性向上・筋持久力向上が期待できるそうだ。話しは弾んで前向きな話しで終始した。帰り際には、一生懸命やってもできないあるポーズがあるが、いつか出来るようになりたいといっていた。過去に語ってくれたそんな話しを持ち出したところ、今でもそのポーズは出来ないらしい。しかしそれでも出来ることをイメージして続けているそうだ。
 願掛けした私の程遠い目標は、180度開脚して胸が地面につくようになること。ヨガのポーズなどでおなじみだ。やり始めた当初は、開脚したら腰が引けて後ろに倒れそうになっていた。せいぜい60度くらいが精一杯。その姿勢で前屈しようものなら痛いのなんの。できっこないし到底無理な話しだった。あれから2年が経った今、少なめに見て110度くらいまで開脚ができるようになり、腰は立つようになり、そこから上半身を前屈して胸が着くまで十数センチの所まで来た。首が前のめりになって猫背だった体形もだいぶ改善されたように感じる。なぜそう思うかといえば、体がどんどん楽になるからである。痛い足を引きずって、無理な姿勢で日常生活をしていた過去のことを思うと天と地ほどの違いがある。それでもその時の自分はそれがベストだと思っていた。しかし毎日の少しづつの努力で、私達の体はもっと健やかにもっと爽快になれるのである。一日1ページの本を読むと決めれば1年で365ページになる。10ページだったら3650ページとなり年間100冊は読める計算になる。木の年輪のようにその積み重ねは果てしなく大きな差を生むことになる。千里の道も一歩からで、たった一度の人生だから、なにか不可能と思えることにも挑戦して見る価値は大いにあると思う。それを証明してくれるのが私達自身である。