葉っぱ リニアは第2の原発問題となる

2014年8月1日

 わが国で世界に誇れるものといえば、昨年式年遷宮が行われた伊勢神宮をはじめとする数百年以上も人の手で守られてきたお社、富士山やアルプス山脈など日本各地の自然豊かな地形、街全体が古き日本の伝統を受け継ぐ京都といった経済発展の影で失われつつあるものを守り続けているものがすぐ頭に浮かぶ。一方で、経済発展の象徴として誇れるもの、その一つが新幹線だろう。過密なダイヤを運行し続けて今年50年、しかも無事故。まさしく世界一安全な鉄道である。しかしそんな唯一誇れる象徴が、今まさにこの日本を破壊しようとしてる。

 リニア中央新幹線とは、東京都から大阪市に至る新幹線の整備計画路線である。高速輸送を目的としているため、直線的なルートで、最高設計速度505km/hの高速走行が可能な超電導磁気浮上式リニアモーターカー「超電導リニア」により建設される。首都圏 – 中京圏間の2027年の先行開業を目指しており、東京 – 名古屋間を最速で40分で結ぶ予定。東京都 – 大阪市の全線開業は2045年の予定で、東京 – 大阪間を最速67分で結ぶと試算されている。(ウィキペディア参考)

 事業主体はJR東海、東京大阪間438kmの内トンネルが何と246km。そのため工事費はじつに9兆円を超えるといわれている。 狭い日本、そんなに急いでどこへ行く?鉄道の楽しみといえば車窓からの風景ではないだろうか。新幹線で東京へ向かっていても、静岡を過ぎたらあちらこちらで今日は富士山が見れたとか雲がかかっていたとか耳にするのが普通で、速いだけで惹かれる乗客は果たしてその中の何%いるだろうか。しかも、リニアが通る場所は、日本の美しい自然が残る山々や地形を引き裂いて進むのである。

 今後、このリニア建設がスタートすることになれば、地方のダム建設や公共工事が軒並み減少するだろう。もはや日本じゅうの公共工事はこのリニアだけで十分すぎる。この計画が表しているのは採算などど返しで、やることに意義があるというダム建設と同じである。もっといえば原発と同じ構図だ。経済発展というバカの一つ覚えの言葉で踊らされる地方都市。異議ありというところがないのは、空からお金が降ってくるのを待っている人間ばかりだからに違いない。身を削って金に変え、それがなくなれば大切な土地さえも売り渡す。それを気づかされたのが3・11だったのではなかったのか。

 いよいよ引き返すことができないところまで行き着いた。その果てに待っているものを一人ひとりが覚悟することになる。そうならないよう、食い止めれることができるものには声を出して行くしかない。一人ひとりは微力な力でも、結集すれば大きな力になり、そして声になる。