金メダルへの挑戦
2014年2月1日
東京都知事選に細川元首相が出馬して以来、俄然世の中が面白くなってきた。脱原発を旗揚げに、この細川、小泉という二人の元首相がネット上のユーチューブで有権者に訴える姿を見て、久しぶりに胸が熱くなった。政治家という鎧を脱ぎ捨てて、素の自分をさらけ出しながら語っている姿があった。3・11以来、日本は原発事故で窮地に立たされている。いよいよ崖っぷちに追い込まれたわが国は、本来こういう姿で物事に取り組まなければならなかったはずだ。地震や津波の災害が問題ではない。事故の収拾の目処がつかない現状がありながら、それに目を背けるメディアや政治家ばかりだから非難の声が世界中で拡大しているのだ。それを蔑ろにしてまた原発を再稼働しようとしている。しかも今の政権はそれでも安全だと言いながら世界各国に原発を営業に歩いている。正気の沙汰とは思えない。それに反旗をあげたのが小泉氏であり細川氏だ。きっとその声は十分有権者に届くだろう。一国ほどの大きな利権が集中する東京だからこそ大きな意義がある。9日が新たな政変の幕開けになることを期待している。因みに生活の党の小沢一郎氏も早くから細川氏を応援することを表明している。だれが当選するか顔色をうかがう政党ばかりの中で、やはり彼は筋の通った政治家だと思った。
今回のテーマから離れていきそうだがそうでもない。好きなアスリートを挙げろと言われれば、即座にイチロー選手と浅田真央ちゃんと答える。この二人の姿勢には何か共通点を感じるからだ。この時とばかりはNHKに感謝する。過去に放映されたNHKスペシャルなどの番組を見なければその人となりを感じることができなかっただろう。間もなく始まるソチオリンピックは彼女にとってバンクーバー以来のリベンジの試合になる。遙か4年後を見据えて練習に打ち込んできたわけだが、一言で4年といってもその月日たるや大変なこと。健康管理一つとって考えて見たら分かる。好きなことや物よりも体調が優先される。自分の体に今何が必要かを分かっていなければ、大切な試合にベストな状態で望むことなど出来るはずがない。その上好感度ナンバーワンのアスリート。メディアが視聴率稼ぎに躍起になるのも無理のない話しだが、それだけ大きな重圧があの小さな肩にのしかかることを意味する。そんな中で自分の満足いく演技を追い求めるというのは想像すらできない。
NHKスペシャル「金メダルへの挑戦」の番組の中で、そのカメラレンズはここ数年にわたって彼女を追いかけていた。そこに映しだされたものは、素でひたむきに自分の限界に限りなく挑戦する姿だった。味方千人敵千人とはよく言ったもので、敵は世の中に無数にいるはずだ。しかし一番最大の敵は自分自身なんだと、言葉に出さずともそれを教えてくれていた。
いよいよ始まるオリンピックに心からエールを送るとともに、年の変わり目に新しい希望の風が吹くことを願ってやまない。