葉っぱ 意外な関係?

2012年3月1日

 今年に入って三日目の朝のこと、起きて歩き出したときに右足の股関節あたりが何か少し浮いたような気がした。いつものようにジョギングに出掛けようと歩き始めると、やはりその辺りに細い棒でもつっかえたような違和感を感じる。しかしさほど支障がないので変に思いながらも毎日の日課であるジョギングをこなしていた。ところが一週間もするとその部分に痛みが伴いはじめた。右足に力が入らず走ることができなくなったのだ。これはまずいと思ってしばらく様子を見ることにした。三日ほど経って、痛みがひいたためにまた軽いジョギングを再開したが、やはり徐々にその部分が痛み出す。どうもおかしいので整体など心当たりのことを行ったりしてみたが、一時的に良くなるだけで元の状態に戻ってしまった。原因は一体何だろう。頭にもこの問題がつっかえる様になり始めた一月の終わりごろ、昼食をとっている時に、硬いものが口の中を転がった。いやな予感。治療した歯の詰め物が取れたのだ。悪いことは重なるものだ。観念して一番嫌いな歯医者に行かなければならない。というのも昨年の夏ごろ、今回詰め物が取れた隣の歯、これも過去に治療したところの歯茎が膨れて痛み出し、炎症を起こしているようだったので、歯医者に行かなければと思いながら、痛みが治まったので忘れてしまっていた。
 その翌日さっそく歯医者に伺った。レントゲンの結果は、過去に治療した奥歯3本の根に異常が見られるということだった。歯茎が痛かったのはやはりその炎症のためだった。こうなったらまな板の鯉である。治療2回目はちょうど節分の日、一番悪化している歯の治療から始まった。しかし途中で手が止まって説明が始まった。ブリッジの土台にしてあったこの歯は、根まで真っ二つに裂けている可能性があり抜かなければならない。急に言われても心の整理があるだろうから次回にしても良いという。ここまで来たら付き合うしかない。早速始めてほしいとお願いした。局部麻酔を打たれてだんだん感覚が麻痺してきた。あごはガクガクしてくるし舌はどこにいるのか分からない。そうしている間にあっさりと抜かれた歯は、先生の言うとおり真ん中にひびが入って裂けていた。
 麻酔が切れてくると同時に、患部の鈍い痛みが右半身に響いてきた。一本でも歯がなくなるというのは不便である。特に奥歯は咀嚼に一番負荷がかかる。ましてや玄米食だとそれがなくなる辛さは耐え難いものがある。しばらく左側でゆっくり噛んで食べることが習慣となりそうだ。だんだん早食いの癖が戻りつつあったのでちょうど良かったかもしれない。患部の鈍痛がだんだんひいて来ると、思わぬことに気がついた。股関節のあの痛みが治まっているのだ。少し筋が張っているような感覚はあるが、歩いたり走ったりすることに、さほど支障がなくなったのだ。しかもその筋の張りは治療するごとに楽になっているように感じられる。注意して約1ヶ月ほど観察した状況である。
 体にはこのような思いもよらぬ意外な関係が山のようにあるはずだ。インターネットでは顎関節と股関節の関係が多く紹介されていた。さすがに歯を抜いたら痛みがとれた話しはなかったが、痛みのあところばかりに囚われる危険性をつくづく感じた。痛みは結果であり、もとを辿って原因がどこにあるのかを知るために、もっと自分の体との対話が必要だろう。今回はたまたま被せた歯が取れたこときっかけで、その原因を知らしてくれた。しかしこれも自分が腫れの症状を放置していたがために症状を悪化させたに過ぎない。症状即療法でその時すばやく対処をしていれば、新年早々足を引きずるようなことはなかったはずである。旧暦の新年から始まった治療が、体の警告を無視することが、結局後になって自分に帰ってくることを教えてくれるものになった。人間いつかは苦手を克服しなければならないということだろう。