K氏のその後
2009年7月1日
早朝、携帯電話の音がけたたましく鳴り響いた。5時ごろだから当然だ。何かと思って表示を確認すると、以前にもご紹介した病気の問屋K氏からである。 ひょっとしてご家族から悲報の連絡かと思って、怖々出てみると、「おい、どういうことや。笑っ笑。」電話口の向こうでゲラゲラ笑っている。心の準備をした のも馬鹿らしくなったが、一体何事か問いただしてみると、どうやら、本当に早起きしてウォーキングをしているのか確かめたのだという。そして畳みかけるよ うに、朝食抜きなど馬鹿げたことを言うな、理由を聞かせろと迫って来たのだ。この当たりの神経は、さすが人のことはお構いなしで、片っ端から情報源を探る 元新聞記者の姿勢そのものである。
大手術をした昨年の10月以降、たまにメールが来ては返信していたが、ひょっこり店に顔を出したのは、つい一週間前のことだった。大柄だった体は、食事 制限もあってかなりほっそりしたが、以前より足の運びが軽いように見えた。会って早々、編集長時代の口癖「何かいい話はないか。」が、第一声だった。あ れほど健康に全く無関心だったのに、健康法についていろいろ聞いてくる。取材でも受けているように付きまとうのだ。その理由は後で分かった。退院後、チャ ンプという名でさまざまなブログに記事を書いているという。つい最近では、戦国時代の武将、竹中半兵衛の史跡めぐりや、名古屋扇子について取材したそうだ (以外にも、名古屋は京都と並んで扇子の産地らしい)。さまざまな地を訪れ、人とふれあい、それをブログに掲載しているらしいが、それが本人曰く大好評だ という。以前の仕事柄、まさに水を得た魚で、週に3回の透析治療以外は、寝る間も惜しんで取材記事や写真を、アップしているそうだ。そして、次の記事の矛 先が、こちらに向けられたのだった。朝食抜きと銘打って書かれた記事は、猛反発のコメントとなって帰ってきたという。反論記事がほしいというが、やっても いない人が書いても説得力がないのは当たり前のことだろう。それより、一連の話しの中で、大切なものを学ばせてもらった気がする。それは、健康とは、食事 も運動も大切なことは勿論だが、その司令塔である精神があってこそうまく機能するようにできているということだ。いくら健康に注意しても、精神が病んでい ては、体は言うことを聞いてくれないだろう。たとえは悪いが、暗雲の中の片肺飛行でも、目標を見定めている見事なK氏の操縦法に心から敬意を表したい。