悲報の知らせ
2004年10月1日
残暑がなお残る9月の中頃、突然の一本の電話に頭がまっ白になった。群馬県で西式甲田療法を実践、普及のため健康会館を作られ、病を患っている多くの方々の支えとなっていた西本多美江先生が心筋梗塞のため亡くなったという知らせだった。そういえば数ヶ月前、心房細動により体調を崩したという話しをお電話で伺ったことがあった。食養生のおかげでいまは調子が良いとおっしゃっていたのだが。
当店は、1991年、故加藤ヒロ子先生が食事療法を中心とした健康指導をするお店としてオープンした。そのきっかけは、加藤先生ご自身が長年保健婦として活動をしていながら体調を崩したことに疑問を感じていたとき、新しい栄養学の健康合宿に参加する機会を得たことだといっていた。その健康合宿を主催したのが西本多美江先生だったという。五大栄養素をしっかりと教えこまれてきた世代にもかかわらず、その合宿ではまったく正反対に、玄米菜食に青汁!栄養を取るなという話しだっだそうだ。今だからブームで何も違和感がないが、数年前では何か宗教でもしてるのといわれた程。それがさらに20年も前になるといかにご苦労されたことか想像がつかない。
8年程前、その加藤ヒロ子先生が亡くなられた後を継いだ私を、今日まで影となり日向となり叱咤激励して下さっていたのが西本先生だった。高崎で行われたお別れ会に伺い、その中で、当時を偲んでお話された内容が、まさに一人一人の健康を思い、活動されていたお話の数々だった。「みんな順番なんだから、悲しむことないよ、加藤さんとしっかり見てっからね。」無言で渇を入れられた気がしたのだった。
その西本先生の後継者である宇津野先生と3年ほど前に自費出版されたのが「少食の魅力」(キレない病まない、ボケないための健康法)~20年にわたる健康法実践の集大成だ。たくさんの方にすでにお買い求めいただいたが、病気のメカニズムから手当て法、子育てから老いにいたるまでのケアを、ひも解くように書かれた健康の教科書といってもいいだろう。最低一冊は手元において置きたい本であるとともに、今の私の貴重な宝物となった。