ヘルシングあい便り

にっぽん横断こころ旅2021.10.01

 みなさんから寄せられたお手紙である「こころの風景」をもとに、その日の旅の目的地を決める「こころ旅」は、俳優の火野正平さんが、相棒のチャリオ(自転車)に乗って日本全国を旅するという、毎日見るのが楽しみな、ぶっつけ本番のBS番組です。
 これまで10年かけて一万六千五百キロを走破し、1019日かかったといいますから、一年の三分の一をこの番組と共にしていることになります。昭和24年生まれの72歳。これまでさまざまな映画や大河ドラマなどのテレビ番組に出演してきた大物俳優が、十数キロの道のりを自転車で目的地に向かいます。平坦な道もあれば、山あり谷ありの難所もあり、そこを毎回、からだ一つで走り切る(演じ切る)のですから、自己管理も必要でしょうし、すべて台本なしの撮影のため、自然と自分の素が出てしまうでしょうから、本人にとっては大きな転身となる番組に違いありません。
 それまでの火野正平さんといえば、女ったらしで少し斜に構えた取っ付きにくいイメージを役柄から持っていましたが、この番組を見て、ガラッとイメージが変わりました。自転車で走行中も、ただ目的地に行くのではなく、道端に咲いている花や植物、野菜などに触れ、その土地とその季節をより身近に感じさせてくれます。花や木の名前もすらすら出てきますし、「こころの風景」その場所に到着しても、どの場所がより鮮明にその人の風景なのかを探し求めます。懐の深い人間性が伝わってきて、番組を見るたびに、心が洗われたような気がします。
 みなさんが寄せる「こころの風景」は、昔住んでいた両親の実家だったり、廃校となった学校や、お寺や神社、巨樹、田んぼや川など、そのほとんどがふるさとの風景と言って良いでしょう。そんな故郷から離れて住まいを移すと、都会の雑踏が過ぎゆく時間を忘れさせます。仕事や学問に打ち込む人、育児や家庭生活は、より成長するために登っていく人生の時間。しかし、登っていけば必ず下る時が来ます。 
 そんな時に、「こころの風景」は、自然と故郷や、昔のささいなものを鮮明に映し出すのではないでしょうか。生活という雑務に追われて、大切なものを見失いがちです。立ち止まった時に見えてくるものは、本来自分が心にしまっておいた宝物なのかもしれません。
そんなことを思わせる火野正平さんの「こころの旅」です。
 昨年来、コロナ禍で、自粛自粛で経済的には大変なことが続いていますが、このウイルスが一歩立ち止まる機会を与えてくれたともいえないでしょうか。
 飛行機の往来や、船舶の行き来がなくなったことで、空気が澄んで、川も本来の美しさを取り戻したという映像を多く見ました。在宅勤務が定着して、自宅で食事をする機会が増えたり、お子さんとパン作りをする人が増えたために、小麦粉が欠品騒ぎになったこともありました。お子さんにとっては、将来の「こころの風景」になるかもしれません。
 この機に実家に戻ったり田舎暮らしをしている人が急増しているとも聞きます。生活の雑踏から引き離され、一人一人が本来の生き方を取り戻す大きなきっかけになったともいえるでしょう。災い転じて福となる。陰極まって陽転す。
 この番組で、登った場所から、降りていく生き様を火野正平さんに見せられている気がします。
こころ旅、ぜひ御覧になってみてください。

BSP・BS4K
「朝版」毎週月曜~金曜 午前7時45分 |再放送 毎週月曜~金曜 午前11時45分
 「とうちゃこ版」毎週火曜~金曜 午後7時 再放送 毎週土曜・日曜 午前11時

コメント



画像の中に見える文字を入力してください。