ヘルシングあい便り

「タネは誰のもの」2021.02.01

 伊勢神宮で神に奉納される水田で、突然品種として現れた「イセヒカリ」。その当時は門外不出だったそうですが、全国各地の神社に種もみの下賜を認めました。その種籾を分けていただいた農家さんが育てたイセヒカリを取り扱っていましたが、高齢により廃業するからといってその種籾を譲り受けたのが2年前のことになります。昨年で2回、その種籾を発芽させて育苗し、その苗で田植えをして無事収穫をしました。この品種は、登録品種でも推奨品種でもないため、公的機関や農協による関与がありません。
 種子法廃止というニュースを耳にしたことは、少なからずあると思います。これはどういうことでしょうか。日本の種子生産は種子法に基づき、都道府県が伝統的在来種の保存や地域に合った多様な品種を開発してきました。農業試験場などで、その土地にあったお米や野菜などの品種改良で、その土地独自のブランド品を開発しています。しかし農業の自由化を進める政府は「民間参入を阻害している」として同法を廃止しました。
 「タネは誰のもの」が名古屋シネマテークで2月13日から公開されます。オンラインでも1000円で常時視聴可能なので、ご都合の悪い方でもいつでも都合の良い時間や場所で視聴可能です。この作品は、昨年の10月に種苗法改正の国会審議が再び始まったのことに対し、農家の不安や憤りの声を取材したドキュメンタリー映画です。農家が登録品種のタネを自由に自家採種し、自家増殖することを禁じた「種苗法」改正案。
 では、そもそも種苗法とは何でしょうか。野菜やくだもの、穀物、きのこや花などのすべての農作物の種や苗に関する法律です。新たに開発された品種を農水省に出願して、それが認められて登録品種となると、その独占的販売権が25年(樹木の場合は30年)認められます。つまり、開発した人の知的財産権を守り、その種苗がその権利を守って市場で流通できるようにするための法律といえます。一方その改正案は、登録品種を農家が種子をとるなどして自分たちで増やすこと(自家増殖)を規制し、新たな品種を作った者の知的財産権である育成者権を強めることです。
 「農家の基本は、1、種(種苗)、2,肥(土作り)、3、作り(技術)と言われる。その3分の1不安を抱えながら本業をやるのは悲しい」映画の中で、特に印象に残る言葉でした。これも自ら米作りをしたからわかったことです。果たして私自身、自ら土を向き合い、農業というものを肌で感じなかったら分からなかったかもしれません。
 私達の健康は、毎日いただく食物で形つくられています。お米やパンの小麦、旬の野菜、たくさんのその土地のミネラルや栄養を含んだ食物です。そして作り手の想いが入ってます。極端かもしれませんが、競争めぐる民間企業が知的財産を取得し、ベルトコンベアーで、製品か餌でも売られるよう
に、機械的に育った種子に変わったらどうなるでしょうか。
 私達に神から与えられている唯一の自由は、何を食べるかという日々の選択ではないでしょうか。資本力で何もかも合理的にという考えは、傲慢すぎないでしょうか。と言って、何も知らない
のも無責任です。是非、観ていただきたいドキュメンタリー映画です。

「タネは誰のもの」名古屋シネマテーク

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