ヘルシングあい便り

ソチへの旅2014.03.01

 店のスタッフに後押しされたことと、この店を引き継いで以来、時には優しく、時には厳しい目で励まし続けてくれた方のご厚意が重なって、一週間という長期休暇でオリンピックが開催されているソチへフィギュア応援ツアーに行ってきた。このような話しはするつもりはなかったが、実際にこの目で見てくると一言つい書きたくなった。お許し願いたい。申し込んだ時には既にキャンセル待ちで10番目、諦めかけていた年末の忙しい最中に旅行会社から連絡が入り、急きょ行けることとなった。そのツアーに参加したメンバーは35名で人気があったために増便した気がする。というのも行きの飛行機はソチ入りするのにイギリスとモスクワをそれぞれ経由したため約30時間かかり、しかも到着してすぐ観戦チケットを入手するためにチケットセンターに直行し、その後ホテルにチェックインして1時間後に観戦に出かけるという超過密なスケジュール、経由地で何かあったらどうなったことやらの強行軍だったからだ。
 オリンピックというものに初めて足を運んで感じたのがスボンサー広告の凄まじいこと。それは町全体を覆っていた。会場内ではクレジットカードはVISAしか使えないし、飲食にいたってはすべてコカコーラが支配していた。宿泊したホテルのテレビ、駅のエレベーターなどはサムソン電子の文字。意外に三菱自動車を多く見かけたが、オリンピックのロゴをつけて走っているアウディーがやたら目立った。日本のスポンサー企業を探してようやく見つけたのが現地スタッフが着ているパナソニックのロゴがついたジャンパーくらいで、その宣伝にいたっては宿泊中のテレビでも見ることはなかった。
   「この辺りはオリンピックが決まるまで何もなかったんです。すべてオリンピックが決まってから作られました。鉄道から施設の建設が7年前から始まったんです。(マリオットホテルを指さしながら)あのホテルも開会式の3日前に完成しました。約束は守ったでしょう?」流暢な日本語で、現地の人が説明してくれた。クラスナヤ・ポリアナからリフトで登って行くと、雪をかぶったカフカース山脈は日本のアルプスを思わせる絶景のスポットだった。そこは今も着々と工事が進んでいた。この辺りはスキーリゾート地として今後も賑わうかららしい。オリンピック会場に話しを戻すと、千人以上は入る一番大きな食堂は、仮設といった感じの薄暗いほったて小屋で、べるのに終始行列に並んで30分以上はかかった。そして会場の隣には巨大なテーマパークが建設中である。どうせならオリンピックに合わせれば良かったはずだ。腑に落ちないからこの会場がその後どう利用されるのか聞いてみたところ、なんとF1のレースの会場になるという。道理で合点がいった。今後の利用方法も決められているのだ。無駄なところには一切お金をかけない。合理的なロシア人の感覚は見習うところも多い。一方日本にそんな金と時間の余裕はあるのだろうか。
  肝心なフィギュアスケートの話しは、日本時間の朝方にご覧になられた方々も多かったはずで、長くなるので省かせてもらうが一言、ショートプログラムの最後に浅田選手が滑り始めたのは現地時間で午後11時頃だった。健全なスポーツにしては遅い時間で、どちらかと言えばショータイムと言った感じだ。ソチの日の出は日本よりかなり遅い。8時半を過ぎないと明るくならない。そして日没は遅いときている。そのため生活スタイルに2時間ほどのタイムラグがあるのではないか。そうでなければ開始をわざわざ午後7時にしないのでは。この時間設定は日本では考えられない。選手のことよりも観客や視聴率重視のお祭り騒ぎ、これもオリンピックの傾向と思えてならなかった。競技を超えたところでも選手の戦いがあるということだ。行ってみて分かる。状況はみな同じとはいえ、そこで力を出すことの大変さを身にしみて感じた旅となった。

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