ヘルシングあい便り

KAIZEN2011.01.01

 暮れも押し迫った現地時間20日の午後4時すぎ、無事ヒュースロー空港に着いた。一日早く発っていれば大雪の影響で成田に戻されていたので運が良かった。気温は氷点下と聞いていたが、着込んでいたこともあってあまり寒さを感じなかった。想像していた灰色の空が上空を覆っていた。
 イギリスへ行くことを決めたのは、それほど前のことではなかった。彼の地のあるイベントへ行きたいという思いと、重なるように坂の上の雲がNHKで放映されたことで、かつてこの小説を読んだときの想いがそれを後押ししただけのことだった。10年のパスポートは8月で切れていた。そう考えると10年に1回の突発性の病気なのかもしれない。その一方で、日頃ラジオで聞いている基礎英語がどれくらい身になっているのか試したい気持ちもあった。
 空港へは着いたがホテルまでの行き方が分からない。困り果ててインフォメーションセンターへ行くと、高齢の方が大きな地図を広げながら丁寧に教えてくれた。話しの内容は半分以上理解不能だった。ヒヤリング能力のなさにがっかりした。地下鉄の最寄り駅があると言うので切符の買い方も戸惑いながらようやく車両に乗り込むと、車内は驚くほど狭い。大きさは日本の2/3ほどではないだろうか。しかも車高が低いため背の高い人はかがんでいる。そして車内の蛍光灯は、所々切れかかっている。おまけに車体は傷だらけだった。しかし、誰一人文句を言う人はいない。乗り換えの長い階段の途中で、乳母車を引いた女性に若い男性が声をかけた。彼はそれを階上まで抱えていった。お礼を言われると、メリークリスマスと言って笑顔で去っていった。また、次の車内でどっしり腰を落した熟年女性が小さい子どもに声をかけた。その瞬間その子どもにその席を譲っていた。ロンドン市内まで約1時間、地下鉄を降りて高架下、ここでも相変わらず蛍光灯の何本かは切れていた。
 翌日、ロンドンの朝は暗いが最寄のスーパーは7時にはもう開いていた。店員が忙しく商品を陳列していた。2日目になるとだんだん耳が慣れてきて、片言英語も自然と口をついて出てくるようになった。こうなるとだんだん面白くなってくる。地下鉄もオイスターカードという便利なカードの存在を発見し、早速購入した。日本でいうTOICAやSUICAと同じ使い方だが、大きな違いは運賃が安くなることだ。運賃がピーク時に変動するから金額が分からない私には特に便利だった。ピカデリーサーカスで有名な駅を降りると、四方に劇場がそびえ立っていた。その中の大改装している一つが目に飛び込んできた。看板になにやらローマ字が書いてある。「KAIZEN」。胸が熱くなった。 気づいたことは山ほどあるが、改めて感じたのは、世界を知ることの大切さだ。小さな島国に閉じ
こもって内弁慶になってみても何も始まらない。過去に世界を席巻した大英帝国でさえ、謙虚な生活をしていると思えないか。そして、文句を言えば自分に跳ね返ってくることをよく知っている。温故知新や吾唯知足とは一体どこの国の言葉だっただろう。日々の見直しで無駄を省き、求めている結果を得るためのより効果的方法を見つけていくというこの改善こそが今の日本にとって一番必要なことではないだろうか。
私自身もKAIZENを、今年一年のテーマにしたい。

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