ヘルシングあい便り

ちょい太? がいい2006.12.01

車で移動中、ラジオから聞こえてきた話しだった。ちょい太がいい?何のことかと思い耳を傾けた。そう提唱していたのは、後で調べて分かったのだが、諏訪中央病医院の院長鎌田實氏の話しだった。その内容は興味深いものだった。30年ほど前、その病院に赴任してきた時の長野県は、脳卒中死亡率が秋田に次いで全国2位の高さ、平均寿命が全国平均以下だったそうだ。その長野県が、鎌田氏が取り組んだといってもいい医療改革により、いまや男女合わせて日本一の長寿県となり、しかも老人医療費が全国一位の低さになったという。一体何がそうさせたのだろうか。疑問だけが頭に持ちあがるが話しは続いていた。長野と代わるように、沖縄が長寿日本一から脱落したという。原因は、日本一多いファーストフードの数だというから驚いた。当然、肉類の消費量は第一位だそうだ。その一方で四方海に囲まれながら、全国で最も魚を食べなくなったという。気候に恵まれているので年中豊富な野菜や果物が手に入るが、これらも一番食べない所となってしまったらしい。ちょっと前まで、沖縄の伝統食が長寿の秘訣にあるといい、ゴーヤなどの野菜や豚肉を使った料理、魚、海藻、大豆製品をバランスよく使ったメニューが番組を飾っていた。その長寿一沖縄が、一昨年には肥満度全国一へと変貌してしまったというのだ。
 ちょい太という言葉を頼りに調べると、意外や簡単に検索できた。「ちょい太でだいじょうぶ」という本が出版されていて、先の内容は著者が語ったものだった。その本を取り寄せて読むと、疑問だった改革のなぞが解けた。保健婦さんや地域のヘルスボランティアと共に生活指導に出かけていっては、野菜(食物繊維)や魚を多く、海藻ときのこ、大豆をとって、肉や塩を少し減らして、運動をすることを丁寧に指導したという。なるべく薬を出さず、生活習慣を代えることによって病気を治す。病気にならない体にすることに重点を置き、医療に頼らないようにするための「健康づくり運動」の取り組みが、やがて大きな実を結んだのだった。30年前といえば栄養重視で肥満児もよしとしたような当時の風潮の中である。このような運動を根付かせることは並大抵の苦労ではなかっただろう。そのおかげでこの長野と沖縄の例は、食生活の大切さのみならず、偏った食生活がやがて訪れる行く末を示してくれているのだ。
 気になる「ちょい太」という言葉だが、年末年始の暴飲暴食シーズンにはちょいと嬉しい話かもしれない。厚生労働省の10年間の追跡調査の結果、もっとも長生きできるのは、BMI(体脂肪を表す指数で体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で表された数値)は、23.0~24.9であるという。ちなみに私の場合は、67÷1.73÷1.73=22.38で、若干低いくらいだ。もう少し太っていたほうが長生きできる数値となる。死亡率の高い数値は、BMIが18.9よりも低い「やせ」ている人で、肥満の人よりも死亡率が高いらしい。筆者はさまざまな調査を考え合わせると、男女ともBMI24~26くらいが、病気にならない健康なちょい太と語っている。ダイエットブームで健康や美容のためなら死んでもいいという言葉が作られるくらい世間はどうかしているが、長い目で見ると、健康で長生きとは「健康づくり運動」が示すとおり、至ってシンプルで当たり前のところに落ち着くようである。年の瀬に迎い、先の健康づくりと、BMIの数値を見ながら健康管理してみてはいかがだろう。

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