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雑誌・本掲載情報
おすすめの本2001.12.01
今も愛される国定忠治の名セリフ「赤城の山も今宵限りか・・・」でお馴染みの赤城山のふもと近く、西本多美江様が主宰する群馬健康会館を訪れたのは9年前のことになる。
ベーチェット病を西式甲田療法で克服した西本先生が全国の保健婦を集めて行った健康合宿が甲田療法をはじめるきっかけになったことを生前加藤ヒロ子先生からお聞きしていたこともあって何とかお会いいただけた。お忙しいところを手を止めて甲田療法のこと、医学的なこと、健康に対するご自分の考えを語ってくださいました。ヘルシングあいを引き継いでからも叱咤激励をいただくなど大きな支えとなっていただいてます。
その西本多美江様と宇津野ユキ様がこのたび共著で、20年にわたる西式甲田療法実践の集大成を1冊の本にまとめられました。 その本が「小食の魅力」(キレない、病まない、ボケないための健康法)です。冒頭で、マハトマ・ガンジーの「国民への提言」が引用されています。
「思えば不思議でならないのは、人々は身近なことより遠くのことをはるかによく知っていることです。自分の村のことはほとんど何も知っていないのに、イギリスの山や川の名を空んじています。人々は大変骨を折って空の星の名を覚えているのに、自分の家の中の物事を知ることを値打ちのあ
ることだとはほとんど考えていません。それと同じように人々は、自分の体の構造や、骨や筋肉ができてくる仕組みや、血液がどのように循環し、汚れるか、よくない考えや情欲にいかに影響されるかなどについて、無知であることを恥じていません。体ほどわれわれに密接に結びついているも
のはないのに、体についてほど無知が深刻で、無関心が徹底したものは他にありません。この頼りなさを克服することはすべての人々の義務です」
これほど情報化が進んでいつでもほしい情報が手に入る時代になっても、この言葉は古さを感じさせません。この義務を遂行されたかのように、病気のメカニズムから手当て法、子育てから老いに至るまでのケアを、ひも解くように書かれています。家庭の医学書ではなく、健康書として是非おすすめしたい本です。
敵はだれ?2001.11.01
世界がアフガニスタンの動向を注視している中、アメリカは炭ソ菌で混乱し、日本国内は、狂牛病で振り回されています。世界が同時にテロに巻き込まれたような不安感に襲われているようです。超大国のご都合で時には味方になり、今度は敵にされるという何とも身勝手な道理がこのテロを生み、さらにはさまざまな問題の根源となっている気がしてなりません。狂牛病の原因もしかり、肉骨粉を使うこと自体、消費者の健康はともかく生産性を高めることに躍起になっていた証拠です。豚や鶏はどうでしょうか。病気の卵を毎日食べていたらどうなることか・・合理性ばかりを追求した生産者のご都合と、買う側はより安く買えるご都合が、食をいただく命の問題を遠ざけてしまっています。
かつて某国から輸入されたオレンジ等に含まれる強い殺虫剤や防カビ剤が催奇形性を起こす疑いがあるとして不買運動が高まった時、東京においてその輸入品をおいたデパート自体からお客様が遠ざかったため、そのデパートではあわててそれを撤去したといいます。消費者の意識は、生産者や販売
者の意識を変えられるのです。牛肉ばかりが敬遠される問題ではなく、食に対する意識の本質が問われています。
PS:下記商品は、牛由来加工品です。アメリカが某カップラーメンの輸入を禁止したことはすでにご承知のことと思いますが、かならず毎日目にするものばかりが並んでいます。ヘルシングあいの一部加工品にも牛由来の商品がありますが、各メーカーの調査結果により安全性が確認されています。しかし、改めて商品の見直しを図る予定ですのでご不審な点がございましたら何なりとお申し付けください。
牛由来の加工食品・・・・・・・・・・
【牛エキス】ブイヨン、コンソメ、レトルトカレー、カレールー、シチュールー、スープ、スナック菓子、インスタントラーメン&カップめん、ハム、ソーセージ、ベビーフード
牛 脂】レトルトカレー、カレールー、シチュールー、ベビーフード
ゼラチン】ゼリー、ヨーグルト、アイスクリーム、ベビーフード
コラーゲン】栄養補助食品
※朝日新聞掲載
見えない敵2001.10.01
アメリカ合衆国の世界貿易センターとペンタゴンを襲ったテロから既に3週間が過ぎようとしています。まるで映画のワンシーンのような映像に、到底現実に起こったこととは思えませんでした。犯行に及んだ証拠もないまま、テロ撲滅を聖戦の御旗とした報復に、各国が手綱を引き合い、出口の見えない戦争へと引きずられて行くようです。
奇しくもその前日、日本国内で初めて狂牛病を疑う牛が千葉県白井市で確認されました。イギリスやEU(ヨーロッパ共同体)で起こった騒動を対岸の火事として全く対策はとられなかったのでしょうか。驚くことに2000年末までは欧州から動物性飼料は輸入されていたのです。という事は日本でも狂牛病が発生する可能性はあるのです。「残念なことに日本の農林水産省は、日本において狂牛病が発生する可能性があるとしたEUの報告書に待ったをかけました。このEUの報告書は、日本を5段階のリスクですでに狂牛病が確認されているフランスと同じ中間の3と評価しています.つまり,EUの報告書は,日本で狂牛病が発生してもおかしくないとしているのです。」(農林水産省生産局: 第3回牛海綿状脳症(BSE)に関する技術検討会の概要:農林水産省報道発表資料(2001年3月14日))
(Mad Cow Study Unsettles Japan Stephanie Strom New York Times Service Thursday,June 21, 2001)
HIVでは多くの方が犠牲となり、行政のあり方が問われました。今回もしかりです。見えない敵は、形を変えどこにでも潜んでいます。そんな敵に極力遭遇しないように、気をつけることはできます。血となり肉となる食物は私たちに選択権があるからです。
夏バテ解消2001.09.01
あいかわらず残暑の厳しい日が続いています。今年はほんとに暑かったですね。寝苦しい熱帯夜も何日あったことでしょう。この時期は、水分の取りすぎやクーラーの使いすぎなどどうしても体を冷やしてしまいがちです。そしてその反動は、だんだん温度差が激しくなるこの時期から出やすくなります。胃腸の調子がどうもおかしい、疲れやすい、下痢気味などの症状が続いたら「症状即療法」体を手当てしましょう。
内臓の強化、活力の増進、気力の充実には梅醤番茶がおすすめです。梅干し、醤油、生姜汁、番茶で作る、昔ながらのお茶です。胃腸病、二日酔い、冷え症、生理不順、夏バテ、風邪、頭痛「○○炎」のように炎のつく病気の人などに最適な飲み物です。様々な書物によると・・
☆ 梅醤番茶は、いわゆる「暑気払い」の妙薬でもある。古人曰く「梅干しを日に一つ食べておけば、疫病(陽性伝染病)にかからない」☆胃の中に食物やアルコールがたまっているのに、上にも下にも出すことができない時に、梅醤番茶が”吐剤”の役割を果たしてくれます。吐いたから体に合わないと考える人がいますが、それは第一段階です。吐いた後、からになった胃に、もう一杯飲むのがコツなのです。吐いた後、からになった胃にもう一杯の梅醤番茶こそ、胃腸内を調整し、中枢神経や心臓神経までも調整し、雲が晴れたようにしてくれます。
季節の変わり目は体調をこわしやすい時期でもあります。おばあちゃんがおばあちゃんから聞いた身近な食品による手当て法で元気でお過ごし下さい。
清き1票の行方は2001.08.01
地球温暖化防止会議でCO2(二酸化炭素)の削減が叫ばれる中、皮肉にも態度を決めかねている日本は大変な猛暑に見舞われました。世界の天気予報では、日本列島はナントあのハワイよりも暑い!それなのにアロハシャツでなく制服姿が多いというのはどうも温暖化を促しているように見えます。中部地方では、電力需要は最大電力(1日のうちでピークだった1時間に使われた電力を平均したもの)を二日連続で更新したことが新聞に掲載されていました。これは98年の夏以来のことだそうですが、今や日本の夏は南国の島より暑いのです。これもCO2の影響でしょうか。この電力使用量は二酸化炭素排出量に換算されることは言うまでもありません。
先日、環境を考える講演会を聞く機会があったのですが、そこでなるほどと思ったことがあります。それは私たちは一人一人選択権を持っているということでした。当然のことなのですが、いまいちピンときませんでした。物を買うか買わないかの選択、物を使うか使わないかの選択、その人を選ぶか選ばないかの選択など言い出したらきりがありません。一つの例として話されたのが20年前に有機農法を取り入れたカリフォルニア州のことでした。手間がかかる有機野菜はもちろん値段も高いのですが、州民が健康にも環境にも良いその農法を支援して高い有機野菜を買い続けた結果、今や州全土が有機農法に変わり、安価にその野菜が買えるようになったということです。私たちも、日常の生活の中で絶えず自由に選択権を行使して票を投じています。票というと選挙のイメージがありますが、野菜を買うのも、物を使うのも同じ事です。どうやら今回の選挙は、自民党率いる与党の圧勝で終わりそうですが、今後も私たちは清き一票を投じるのです。未来を変える選択権をもって、清き一票を投じたいものです。
10周年を迎えて2001.07.01
記憶の風化2001.06.01
高校時代読んだ本の中に「砂の器」(松本清張著)がある。好んで読んだというよりは、友人から薦められて最初は仕方なく読み始めたといったほうがいい。ところが、ページをめくるにつれてサスペンスを伴った内容に引き込まれて、気がついたときは徹夜で読破した印象深い本の中の一冊となった。
最近、親しい方からの強い勧めで、映画化されたそれを見た。30年程前に作られた映画とあって、刑事役の丹波哲郎や森田健作など、若々しい姿で登場していた。映画は、東京国鉄蒲田駅の惨殺死体発見のシーンから始まる。見始めると徐々に過去に読んだ記憶が蘇ってきて、登場人物が自分の描いていた人物と重なり合っていった。捜査がすすんでいくにつれて一体なぜ殺人をせねばならなかったのか?肝心の核心部分を思い出せないまま目が離せないでいたのだが、刑事が犯人の生い立ちを追い始めてから記憶の点と線が結ばれた。この映画のクライマックスである後半の40分は、そのほとんどが犯人の幼少時代の回想シーンで占められている。父親がらい病に感染したことから母が家を出て行き、父親と残された子も村を追われる。痛々しいまでの差別や偏見にあいながらも各地を転々とする父子。その痛みを癒すかのような、あまりにも美しい四季の移ろいがスクリーンに展開される。
過去と断絶をして、時に有名な作曲家となった人間の保身が殺人を犯す動機となるのだが、この映画は単なるフィクションとしてでなく、時代の裏側に押し込まれた問題を浮き上がらせたことで、現実の問題として迫ってくる。
らい病によって引き起こされる慢性の細菌感染症であるハンセン病。主に、末梢神経と皮膚が侵されるなどの症状が発現するのがこの病気そのもので、死にいたることはない。昭和18年に特効薬プロミンが開発されることで、以降速やかに治癒する病気となったはずが、近年まで「らい予防法」が廃止されなかったことは驚きである。
先日、ようやく熊本地方裁判所におけるハンセン病国家賠償請求訴訟の判決で、国の敗訴が確定した。これを受けて現政府が超法規的な政治決断により、全面的な解決に向かって動き出そうとしている。砂で作った器のように、形は風化してなくなろうとも、記憶の風化をさせてはならない。また、砂で作ったもろい器は、いくら装飾を施そうが、かすかな衝撃でもろくも崩れさることを、この映画は語っているように感じた。